美しき金の兜を被り、盾(アイギス)と槍で武装した容姿端麗な女神。戦いの神でありながら、アレスのような野蛮な暴力ではなく、「知性」と「戦術」、そして「平和を守るための戦い」を重んじる、都市国家アテナイ(アテネ)の守護神です。機織りや陶芸など、人間の文明生活に必要な技術も司ることから、女性の手仕事の守護神としても崇められました。最強にして賢明な、ギリシャ神話のヒロイン的存在に迫ります。
アテナとはどんな女神か?
衝撃の誕生
彼女の誕生は極めてユニークです。父ゼウスが酷い頭痛を訴え、鍛冶の神に斧で頭を叩き割らせたところ、その裂け目から「ワァッ!」という鬨の声を上げて、完全武装した大人の姿で飛び出してきました。母親はかつてゼウスが飲み込んだ知恵の神メティスです。ゼウスにとって、自分から生まれた彼女は最愛の娘であり、自身の雷霆(ケラウノス)や、あらゆる魔を払う最強の盾**アイギス(イージス)**を貸し与えるほど信頼されています。
処女神としての誇り
彼女は結婚をせず、アルテミス、ヘスティアと共に「オリュンポスの三処女神」として永遠の純潔を誓っています。そのため、情欲に流されることを嫌い、純潔を汚そうとする者には、たとえ神であっても容赦ない制裁を加えます。
英雄たちの守護者
勝利の女神ニケと共に
ペルセウス、ヘラクレス、オデュッセウス、イアソンなど、ギリシャ神話の主要な英雄たちの冒険の裏には、必ずと言っていいほどアテナの助言や武器の援助がありました。彼女の加護がある側は「必ず勝利する」と言われ、常に従者の**ニケ(勝利の女神)**と共に描かれます。スポーツ用品メーカー「NIKE」の由来はここからです。
アラクネの悲劇
一方で、彼女は非常にプライドが高く、嫉妬深い一面も持っています。ある時、機織りの名手アラクネが「私ならアテナ様より上手く織れる」と豪語しました。勝負の結果、アラクネの作品も見事なものでしたが、神を冒涜する絵柄だったことと、その不遜な態度に激怒したアテナは、彼女を蜘蛛の姿に変えてしまいました。「美貌や才能を鼻にかける人間には厳しい」というのが彼女の特徴でもあります。
まとめ
アテナは、力だけでは守れないものがあることを知る、賢く美しい戦士たちの理想像です。戦争が絶えない現代において、彼女が説く「知恵による平和」の教えは、より一層の重みを持っていると言えるでしょう。