最高レベルの対空防御システムを搭載した軍艦を「イージス艦」と呼びますが、その語源となったのがギリシャ神話に登場する防具**イージス(アイギス)**です。しかし本来のイージスは、単にミサイルや矢を防ぐだけでなく、敵を見ただけで発狂させたり、石化させたりして全滅させる、極めて攻撃的で呪術的な兵器でもありました。
盾なのか、胸当てなのか?
山羊の皮で作られた不壊の防具
一般的にゲームなどでは「盾」として描かれますが、古い伝承ではゼウスやアテナが肩にかけて身につける**胸当て(ケープ)**のような形状だったとも言われています。素材は母乳でゼウスを育てた神獣アマルティア(山羊)の皮で作られており、いかなる武器も通さない絶対的な防御力を誇りました。主神ゼウスがこれを振るうと雷鳴が轟き、嵐が巻き起こるとされ、まさに「神の威光」そのものを形にした防具です。
振るうだけで敵が逃げ出す
イージスの四隅には「恐怖(フォボス)」「不和(エリス)」「暴力(アルケー)」「追跡(イオケ)」を象徴する黄金の房飾りがついており、所有者がこれを戦場で振りかざすと、敵軍は理屈抜きのパニック(恐慌状態)に陥り、戦わずして総崩れになったとされています。
最悪の追加機能:メドゥーサの首
ペルセウスの献上
英雄ペルセウスが、見た者を石に変える怪物メドゥーサを討伐した後、その首は女神アテナに献上されました。アテナはその首を、イージスの中央にはめ込みました。これにより、イージスは「物理無効の防御力」に加えて、「見た者を石に変える」という即死級のカウンター能力を手に入れたのです。
最強の矛と盾の融合
物理的な攻撃は山羊の皮で弾き返し、視覚的な攻撃(視線)で相手を石にする。まさに攻防一体の隙がない兵装であり、主神ゼウスが最強の武器である雷霆(ケラウノス)と共に管理するほどの強力な権能の象徴となりました。アテナ像が胸にメドゥーサの顔がついた鎧を着ているのは、この伝説に基づいているのです。
まとめ
イージスは「守護」の代名詞として現代語にも定着していますが、その実態は敵対する者の精神と肉体の両方を破壊する、慈悲なき女神の最終兵器と言えるでしょう。