ローマ神話の「ヴィーナス」としても知られる、美の代名詞。しかし彼女の司る「愛」は、プラトニックで清らかなものだけでなく、理性を狂わせる「情欲」や「肉欲」も含まれており、神々や人間を巻き込んだ数々の泥沼トラブルの原因となりました。彼女がいるところ、必ず恋の争いが起こる。美しくも迷惑な、ギリシャ神話きってのトラブルメーカーである女神の正体に迫ります。
アフロディーテとはどんな女神か?
海の泡から誕生
彼女の誕生は非常にショッキングです。天空の神ウラノスが息子クロノスによって男根を切り落とされ、海に投げ捨てられた際、そこから精液を含んだ白い泡(アフロス)が生じ、その中から美しい女神が生まれました。これがアフロディーテです。ボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」は、彼女がキプロス島の海岸に漂着したシーンを描いた優雅な絵画ですが、その背景には血なまぐさい神話があるのです。
魔法の帯
彼女が身につけている「ケストス」という魔法の帯には、どんなに賢い者でも、どんなに貞淑な者でも、理性を失って彼女に恋をしてしまう強力な魔力がかかっています。夫はゼウスの命令で、最も醜い鍛冶の神ヘファイストスと結婚させられましたが、彼女はこの帯の力も使いながら、イケメンの軍神アレスや美少年アドニスと堂々と浮気を繰り返しました。
トロイア戦争の引き金
黄金の林檎とパリスの審判
「最も美しい女神へ」と書かれた不和の黄金の林檎を巡り、ヘラ(権力)、アテナ(知恵)、アフロディーテ(美)の三女神が争いました。審判役を任されたトロイアの美少年パリスに対し、アフロディーテは「世界一の美女(スパルタ王妃ヘレネ)をあげる」と賄賂を提示して林檎を手に入れます。しかし、これが原因でギリシャ連合軍とトロイアの間で10年にも及ぶ大戦争(トロイア戦争)が勃発し、大国トロイアは滅亡してしまいました。彼女の美しさは、文字通り国を滅ぼすほどの威力を持っていたのです。
現代作品でのアフロディーテ
聖闘士星矢
黄金聖闘士・魚座(ピスケス)のアフロディーテとして登場。男性キャラクターですが、「天と地の間で最も美しい聖闘士」を自称し、強力なバラを武器に戦うナルシストとして強烈な印象を残しました。
まとめ
アフロディーテは、美しさこそが最強の権力であり、時に戦争さえも引き起こす危険な劇薬であることを象徴しています。愛の喜びと苦しみ、その両方を支配する絶対的な女王なのです。