ギリシャ神話における最初の支配者、天空神ウラノス。彼自身の子供によって王座を追われるという、神々の壮大な世代交代劇の幕開けとなった神です。
ウラノスとはどのような神か?
ウラノスは、大地の女神ガイアから生まれた天空の神格化です。母であり妻であるガイアとの間に、ティターン(巨神)族、キュクロプス(一つ目巨人)族、ヘカトンケイル(百手巨人)族など多くの子供をもうけました。彼は世界そのものを覆う天空として、最初の最高神として君臨しましたが、その支配は暴力的で独善的でした。
神話での伝説とエピソード
息子による去勢と追放
ウラノスは、異形の子供たち(キュクロプスやヘカトンケイル)を醜いと嫌い、生まれるやいなやガイアの体(地下、タルタロス)に押し込めました。これに苦しんだガイアは、末っ子のクロノスに魔法の金属アダマスで作った鎌を与え、反乱をそそのかしました。ウラノスが夜となってガイアに覆いかさなった瞬間、隠れていたクロノスが飛び出し、ウラノスの性器を切り落としました。ウラノスは痛みに叫びながら遠くへ退き、空と大地は永遠に分かたれたのです。
美の女神の誕生
切り落とされた性器は海に投げ捨てられ、その周りに泡が立ち、そこから美の女神アフロディーテが生まれました。また、大地に飛び散った血からは復讐の女神エリニュスたちが生まれました。
現代作品での登場・影響
天王星
太陽系の第7惑星「天王星(Uranus)」は彼に由来します。その名が示す通り、天空そのものを象徴する星です。
セーラームーン
セーラーウラヌス(天王はるか)は、天空と疾風を司る戦士として登場。ウラノスの持つ「天空」「風」「変革」といったイメージを現代的にアレンジし、中性的な魅力で人気を博しました。
【考察】その強さと本質
父殺しの元型
子が父を超え、古い体制を打破するという「父殺し」の物語の元型です。ウラノスの追放は、混沌とした原初の時代から、時間の神クロノスによる支配への移行を意味します。
まとめ
天空そのものでありながら、地に縛られた妻と一族に報復されたウラノス。その壮絶な最期は、ギリシャ神話の血塗られた歴史の幕開けでした。