その輝く果実を口にすれば、神々でさえも老いから逃れることができます。黄金の林檎は、複数の神話体系に共通して登場する究極の「若返りの薬」です。しかしその魅力的な輝きは、時として世界を巻き込む大戦争の引き金(トリガー)にもなりました。
北欧神話:若さの源
青春の女神イドゥンの秘宝
北欧の神々(アース神族)は、実は放っておくと人間と同じように年老いてしまいます。彼らが永遠の若さを保っていられるのは、女神イドゥンが管理する黄金の林檎を定期的に食べているからに他なりません。
ロキによる誘拐事件
ある時、悪神ロキによってイドゥンと林檎が巨人の国へ連れ去られる事件が起きました。すると神々はみるみるうちに老化し、白髪にシワだらけになってしまいました。林檎を取り戻した時の神々の喜びようは、彼らにとっていかにこの果実が生きるために不可欠か(依存しているか)を物語っています。
ギリシャ神話:不和の果実
最も美しい女神へ
ギリシャ神話では、不和の女神エリスが結婚式に投げ込んだ黄金の林檎が、大事件を引き起こします。林檎には「最も美しい女神へ」と書かれており、ヘラ、アテナ、アフロディーテの三女神がその所有権を巡って激しく争いました。
パリスの審判とトロイア戦争
審判を任されたトロイアの王子パリスは、アフロディーテを選び林檎を渡しました。これが原因で他の二女神の怒りを買い、やがて国を滅ぼす「トロイア戦争」へと発展してしまったのです。たった一個の林檎が、数多の英雄の命を奪う結果となりました。
ゲームでの回復アイテム
Fate/Grand Order
『FGO』のプレイヤー(マスター)にとって、黄金の林檎は「AP(行動力)を全回復する」至高のアイテムです。イベントを周回するために林檎をかじり続けるマスターたちの姿は、ある意味で神話の神々よりも依存度が高いかもしれません。「金林檎」という通称で親しまれています。
Minecraft
『マイクラ』では、金のインゴットとリンゴでクラフトでき、体力回復や特殊効果を得られるレアアイテムとして登場します。さらに上位の「エンチャントされた金のリンゴ」は、絶体絶命のピンチを覆すほどの強力な効果を持ちます。
【考察】禁断の果実との関係
知恵か生命か
聖書のエデンの園にも「知恵の木の実」と「生命の木の実」が登場しますが、黄金の林檎は後者の「生命」を象徴しています。人間は決して手に入れることができない、神の領域にある果実。だからこそ、人は黄金の林檎に惹かれ、それを巡って争い続けるのかもしれません。
まとめ
黄金の林檎は、永遠の若さという甘い夢と、それを奪い合う苦い現実の両方を象徴しています。もし手に入れたとしても、一人で隠れて食べるのが賢明かもしれません。