あなたの心臓は、羽根より軽いでしょうか?古代エジプト人は、死後の世界で最も恐ろしいテストが待っていると信じていました。冥界の守護者アヌビスが操作する「マアトの天秤」は、人間の嘘や罪の重さを物理的に量る、冷酷にして公正な審判の装置です。
心臓計量(サイコスタシア)の儀式
罪の重さと羽根の軽さ
『死者の書』に描かれるこの儀式では、天秤の一方の皿に「死者の心臓(イブ)」を、もう一方に女神マアトの象徴である「ダチョウの羽根(真実の羽根)」を乗せます。古代エジプトにおいて、心臓は感情や知性の宿る場所であり、生前の行いが全て記録されていると考えられていました。
合格と不合格
もし心臓が罪で重くなり、天秤が傾けば不合格。その魂は怪物アメミットに即座に食らい尽くされ、「二度目の死(永遠の消滅)」を迎えます。逆に、羽根と釣り合えば合格となり、オシリス神の治める楽園アアルへと進むことができます。
現代エンタメでの天秤
『遊戯王』の千年アイテム「千年秤」や、タロットカードの「正義」など、善悪を判定するアイテムとして多くの作品に引用されています。この「釣り合いを取る」という概念は、正義(Justice)の普遍的なシンボルとなりました。
まとめ
マアトの天秤は、嘘をついて生きても死後は誤魔化せないという、古代人の倫理観が生んだ究極の嘘発見器です。その機能はシンプルですが、結果はあまりにも重大です。