肌が緑色なのは、彼がゾンビだからではありません。彼が「植物」のように、一度枯れても再び蘇る生命力の象徴だからです。かつての地上の王であり、殺害された後に復活し、現在は死後の世界「ドゥアト」を統べる静かなる王、オシリス。古代エジプトにおける「救済」のシンボルである彼の、悲劇と再生の物語を紹介します。
オシリスとはどんな神か?
理想的なファラオ
太陽神ラーの曾孫にあたります。彼は人間に野蛮な生活をやめさせ、農耕を教え、法律を作り、神への崇拝を広めた、エジプト文明の父にして最初のファラオ(王)でした。彼の統治時代は黄金時代と呼ばれました。
死と再生のシンボル
全身に白い包帯を巻かれたミイラの姿で、王権の象徴である杖(ヘカとネケク)を持った姿で描かれます。肌が緑色なのは、植物の再生と、ナイル川の肥沃さを表しています。彼の死と復活は、毎年ナイル川が氾濫して土壌が甦るサイクルや、麦が刈り取られ(死)、パンとなって人を生かす(復活)プロセスと重ね合わされ、信仰を集めました。
セトの陰謀と遺体の切断
豪華な棺への罠
弟のセトは、皆に慕われる兄オシリスを妬んでいました。ある宴会の席で、セトはオシリスの寸法に合わせて作った美しい棺を用意し、「この棺にぴったり入る者がいれば、これをやろう」と言いました。人々が順に試しましたが合いません。最後にオシリスが入ると、ぴったりでした。その瞬間、セトと共謀者たちは蓋を閉じて釘を打ち、鉛を流し込んで密閉し、ナイル川に投げ捨てました。
14の欠片
その後、遺体はイシスによって発見されましたが、セトは再びそれを奪い、今度は14個にバラバラに切断してエジプト中にばら撒きました。イシスの執念の捜索で13個までは回収されましたが、男根だけはナイル川の魚(オクシリンコス)に食べられて見つかりませんでした。イシスは魔術で代わりの男根を作り、オシリスを復活させましたが、完全な体ではないため、彼は地上には戻らず、冥界の王として君臨する道を選びました。
まとめ
オシリスは、死は永遠の虚無ではなく、新たな生命の始まりであるという、古代エジプト人の死生観そのものです。全ての死者は彼の前で裁きを受け、誠実であれば永遠の命を得られると信じられていました。