「うぅー……」という低い唸り声と共に、腐った体で迫りくる死者の群れ。ゾンビは現代ホラーの象徴ですが、その起源は意外にも「奴隷労働」にありました。
ブードゥー教の「働かされる死体」
魂のない肉体
本来のゾンビ(ゾンビ・パウダーによって仮死状態にされ、蘇らされた人間)は、人を襲う怪物ではなく、魔術師(ボコール)の命令に従って農園などで無心に働く哀れな奴隷でした。ハイチの民間伝承におけるゾンビは、死してなお安息を得られない恐怖の対象だったのです。
ロメロ映画による革命的進化
人を喰う「リビング・デッド」の誕生
現在私たちが知る「人を襲い、噛まれた者もゾンビになる」という設定は、1968年の映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(ジョージ・A・ロメロ監督)によって確立されました。この映画以降、ゾンビは単なる操り人形から、増殖する疫病的な脅威へと変貌を遂げました。
走るゾンビの衝撃
本来「動きが遅い」ことが特徴だったゾンビですが、『28日後...』や『ワールド・ウォーZ』などの作品で全力疾走するゾンビが登場し、その恐怖はよりアクション性の高いものへと進化しています。
なぜ頭を狙うのか?
脳だけが生きている
ゾンビ映画の鉄則として「頭(脳)を破壊しない限り止まらない」というものがあります。心臓が止まっても、手足がもげても動き続ける彼らを完全に沈黙させるには、司令塔である脳を物理的に破壊するか、肉体ごと焼き尽くすしかないのです。
【考察】パンデミックの恐怖
社会崩壊のメタファー
ゾンビ作品が絶えず人気を博す理由は、それが単なるモンスターパニックではなく、感染症による社会秩序の崩壊(パンデミック)や、隣人が突然敵になる恐怖といった、現代社会の脆さを描いているからでしょう。
まとめ
のろのろ歩く死体から、世界を滅ぼす災厄へ。ゾンビは時代に合わせて進化し続ける、まさに「死なない」コンテンツの王様なのです。