破壊と再生の神シヴァといえば、三叉槍「トリシューラ」が有名ですが、彼にはもう一つ、恐るべき武器がありました。それが神弓「ピナーカ」です。一撃で三つの空飛ぶ要塞都市(トリプラ)を灰燼に帰したというその威力は、まさに現代の核兵器にも例えられるほどです。
ピナーカとは?
蛇の弦を持つ弓
ピナーカは、七つの頭を持つ蛇王(自ら巻き付いて弦となった)を弦として張った巨大な弓です。あるいは「アジャガヴァ」という別の弓と同一視されることもあります。シヴァ神が怒った時、この弓から放たれる矢(パシュパタストラなどの神の武器)は、全宇宙を焼き尽くすほどの熱量と破壊力を秘めています。
トリプラの破壊
アスラ(魔族)たちが作った空飛ぶ三つの都市「トリプラ」は、神々にとって大きな脅威でした。しかし、この三都市は千年に一度だけ一列に並ぶ瞬間があり、その時だけ破壊が可能でした。シヴァはピナーカを構え、その一瞬を狙って矢を放ち、三都市を一撃で貫いて殲滅しました。この伝説から、シヴァは「トリプラ・アンタカ(三都市の破壊者)」の異名を持ちます。
ヴィシュヌとの対決
どっちが最強か?
ある時、創造神ブラフマーの好奇心から、シヴァの「ピナーカ」と、ヴィシュヌの神弓「シャルンガ」のどちらが強いかという勝負が行われました。両者が弓を構えると、世界が恐怖で震え上がりました。結果は諸説ありますが、弦が緩んで引き分けになったとも、ヴィシュヌの「シャルンガ」がわずかに優勢だったとも言われています。いずれにせよ、世界が壊れる前に仲裁が入りました。
現代作品でのピナーカ
トリシューラの影に隠れがち
ゲームなどでは、シヴァ=三叉槍(トリシューラ)のイメージが強すぎるため、ピナーカはややマイナーな武器として扱われることがあります。しかし、実際にはトリシューラと同等かそれ以上の破壊力を持つ、「隠された最終兵器ロ」のようなポジションです。「女神転生」シリーズでは強力な全体攻撃スキルやアイテムとして登場します。
【考察】シヴァの武器デザイン
投擲と射撃
トリシューラが「近接・投擲」武器であるのに対し、ピナーカは「超長距離・広範囲」兵器です。破壊神シヴァは、距離を問わずあらゆる敵を殲滅できるよう、完璧な武装を整えているわけです。
まとめ
怒れる神が弓を引く時、それは世界の終わりの合図です。ピナーカは、シヴァ神の「破壊」の側面を最も端的に表した、恐怖の象徴なのです。