4つの顔と4本の腕を持ち、水鳥ハンサに乗る老賢者のような神。彼こそが、この宇宙とあらゆる生物を創造した神ブラフマーです。全知全能の創造主であるはずの彼ですが、インドでは寺院が極端に少なく、シヴァやヴィシュヌに比べて影が薄いと言われています。一体なぜなのでしょうか?
宇宙の設計者
4つのヴェーダの象徴
ブラフマーの4つの顔は、ヒンドゥー教の聖典である4つのヴェーダを唱え続けているとされます。 彼はヴィシュヌのへそから伸びた蓮の花から生まれ、瞑想によって世界を設計し、人間や神々を生み出しました。
妻は学問の神
彼の妻は、日本でも弁才天(サラスヴァティー)として有名な、芸術と学問の女神サラスヴァティーです。彼女の奏でるヴィーナ(琴)の音色に合わせて、ブラフマーは世界を創り上げたとも言われます。
なぜ人気がないのか?
シヴァの柱と嘘
ある時、ブラフマーとヴィシュヌが「どちらが偉いか」で喧嘩になりました。そこにシヴァが巨大な炎の柱となって現れ、「この柱の果てを見届けた方を認めよう」と言いました。 ブラフマーは「頂上を見た」と嘘をつきましたが、シヴァに見破られ、**「お前は今後、人間から礼拝されないだろう」**という呪いをかけられてしまったのです。
役割終了説
また、哲学的には「世界はもう創られてしまったので、創造神の仕事は終わった(今は維持と破壊のターン)」と考えられたため、信仰が薄れたという説もあります。
仏教への影響
梵天(ぼんてん)
仏教に取り入れられ、梵天として帝釈天(インドラ)と共に釈迦を守護する役割を与えられました。日本の寺院でもよく見かける、穏やかな顔をした仏像がそれです。
【考察】根源的な力
ブラフマン(宇宙の根本原理)
神としての人気は低いですが、彼の名は宇宙の根本原理「ブラフマン(梵)」に由来します。全ての存在の根底にある真理そのものを人格化した存在、それがブラフマーなのです。
まとめ
派手な活躍は少ないものの、全ての始まりに彼がいたことは間違いありません。縁の下の力持ちならぬ、宇宙の設計者としての威厳は、静かに輝き続けています。