最高神ゼウスの息子であり、最も美しい男神とされる「ギリシャの光」。弓の名手でありながら竪琴の名手、そして医者であり予言者。まさに天が二物も三物も与えた完璧な神様ですが、唯一、恋愛だけはなぜか失敗続きという、人間味あふれる一面も持っています。アポロン。理知と光輝を象徴するこの貴公子の、輝かしくもどこか切ないエピソードを紹介します。
アポロンとはどんな神か?
オリンポス屈指のエリート
光明、音楽、医術、予言、弓術、牧畜など、人間社会に必要な文明的な技術の多くを司ります。特に彼が支配するデルポイの神託所は、古代ギリシャ世界の中心として、戦争の開戦から植民市の建設まで、国家の運命を左右するほどの絶対的な権威を持ちました。「汝自身を知れ」「過ぎたるは及ばざるが如し」といった格言もここから生まれました。
太陽神としての性質
元々はヘリオスという別の太陽神が存在しましたが、時代と共に「輝ける者(ポイボス)」であるアポロンと同一視され、太陽の戦車を駆って空を駆ける姿で描かれるようになりました。妹のアルテミスが月の女神とされるのと対になっています。
悲劇の恋愛マスター
月桂樹になったダフネ
ある時、愛の神エロスの小さな弓を馬鹿にした報いで、自分は「恋する金の矢」を、相手のニンフ(ダフネ)は「恋を拒絶する鉛の矢」を射られてしまいました。アポロンは狂ったように求愛して追いかけ回し、ダフネは拒絶して逃げ続けました。追い詰められたダフネは、父である河の神に祈り、自らの体を月桂樹に変えてしまいました。悲しんだアポロンは、彼女の枝で作った月桂冠を永遠に自分のシンボルとし、勝者の栄光の証としました。
カッサンドラの呪い
また、トロイアの王女カッサンドラに恋をした際は、求愛のプレゼントとして「予言の力」を与えましたが、拒絶されたため、「予言の力は残すが、誰もそれを信じない」という陰湿な呪いをかけました。彼女はトロイアの滅亡を予言し続けましたが、誰からも狂人扱いされ、国が滅びるのをただ見ているしかなかったのです。
現代作品でのアポロン
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
アポロン・ファミリアの主神として登場。主人公ベルを気に入り、執拗に追い回す「変態的な愛」を持つ敵役として描かれました。神話のストーカー気質が、現代風にコミカルかつ不気味に表現されています。
まとめ
アポロンは、理性的で美しい「文明の光」であると同時に、一度情熱が暴走すると手がつけられない、輝きすぎて直接触れられない太陽そのものなのです。その完璧さと不器用さのギャップこそが、彼の魅力といえるでしょう。