オウラノサウルス(Ouranosaurus)は、白亜紀前期の北アフリカ(ニジェール)に生息していたイグアノドン類の草食恐竜です。学名は「勇敢なトカゲ」を意味します。イグアノドンに似た体型をしていますが、最大の特徴は背中に並んだ長い神経棘によって形成された「帆」です。スピノサウルスと同じ時代、同じ地域に生息しており、過酷な環境を生き抜くための特殊な進化を遂げていました。
謎多き帆の役割
背中の帆は脊椎から長く伸びた骨で支えられていました。この帆の役割には諸説ありますが、最も有力なのは「体温調節」です。当時のアフリカは非常に暑く乾燥した気候だったため、帆に血液を循環させて熱を逃がしたり、逆に朝の涼しい時間に太陽光を浴びて体温を上げたりしていたと考えられます。また、ラクダのこぶのように脂肪を蓄える貯蔵庫だったという説や、派手な色で異性を惹きつけるディスプレイだったという説もあります。
平たいアヒルのような口
頭骨は長く平らで、アヒルのようなくちばしを持っていました。これは後のハドロサウルス類(カモノハシ竜)の前段階の特徴を示しています。強力な歯列を持ち、硬い植物をすり潰して食べることができました。また、目の上の骨が盛り上がっており、これが生体では小さな角やこぶのようになっていた可能性があります。
巨人たちとの共存
オウラノサウルスが生きていた場所は、巨大な川が流れるデルタ地帯でした。そこには史上最大級の肉食恐竜カルカロドントサウルスや、水辺の支配者スピノサウルス、巨大なワニであるサルコスクスなどが生息していました。オウラノサウルスはこれら強敵に囲まれながら、機敏な動きと群れでの行動、そしておそらくは帆による威嚇で生き延びていたのでしょう。
まとめ
オウラノサウルスは、環境への適応がいかに生物の形態を変えるかを示す好例です。その帆のシルエットは、白亜紀アフリカの灼熱の太陽の下で独特の存在感を放っていたはずです。