その名は「栄光」を意味する、冬と狩りの神ウル。彼は女神シフの連れ子であり、雷神トールの義理の息子にあたります。多くの神々が華やかな冒険を繰り広げる中、彼は雪深い山奥でスキーを履き、弓を持って獲物を追う、北欧の厳しい冬を象徴する寡黙で実直な勇士です。
スキーの神様
スキーと弓の達人
ウルは誰よりもスキーがうまく、弓の名手でもあります。彼の住む「イチイの谷(イーダリル)」は、弓の材料となるイチイの木が生い茂る場所です。彼は雪の上を自由に駆け回り、逃げる獲物を決して逃しません。現代のスキーヤーにとっても、彼は守護聖人のような存在です。また、彼は「盾の神」とも呼ばれ、盾のことを詩的な表現(ケニング)で「ウルの船」と呼ぶこともあります。これは彼が盾をソリのように使って移動したからだと言われています。
オーディンの代行者
王の留守を預かる
ウルは非常に公正で威厳のある神として信頼されていました。ある時、オーディンが自身の不祥事で王座を追われた(あるいは放浪の旅に出た)際、代わりにアース神族を統治したのは誰あろうウルでした。彼は10年間にわたり神々の王として君臨し、その手腕は確かでしたが、オーディンが帰還すると大人しくその地位を返して去っていきました。権力に固執しないその姿勢もまた、彼の実直さを表しています。
ウルの指輪と信仰
誓いの守護者
古代の北欧人たちは、「ウルの指輪」にかけて誓いを立てたと『詩のエッダ』などに記されています。決闘を行う際にも彼に祈りを捧げました。かつてはオーディンやトールと並ぶ、あるいはそれ以上に広く崇拝されていた重要な神であったことが、北欧各地に残る地名(ウルズアール、ウッレルなど)からもわかります。現代ではゲーム『Smite』などで、スキーと斧を巧みに操る姿で描かれ、人気を博しています。
まとめ
雪に覆われた白銀の世界において、ウルの力は絶対的です。彼は厳しい自然環境と共に生きる北欧の人々にとって、単なる狩猟の神以上の、生きるための知恵と勇気を与えてくれる頼もしい守護者だったのです。