最強の雷神トールの妻であるシフは、誰もが振り返るほどの美しい金髪を持つ女神でした。その髪は単なる金髪ではなく、実った小麦のように輝く、豊穣のシンボルでした。しかし、この自慢の髪がある日突然、悪戯好きの神によって丸坊主にされてしまうのです。
アース神族の美しき母
家族構成
シフはトールの妻ですが、トールと結婚する前に狩猟の神ウルを生んでいます(父親は不明。ワルキューレだったという説も)。トールとの間には娘スルーズをもうけました。彼女は乱暴な夫を支える良妻であり、穀物の実りを司る豊穣の女神として信仰されていました。
ロキの髪刈り事件
酔った勢いの犯行
ある夜、悪戯神ロキは面白半分で寝ているシフの寝室に忍び込み、彼女の美しい金髪を根元から全て剃り落としてしまいました。翌朝、変わり果てた姿に泣き崩れるシフを見て、トールは激怒します。「ロキの仕業に違いない」と直感したトールはロキを締め上げ、「骨を一本ずつへし折ってやる」と脅しました。
宝具誕生のきっかけ
命の危険を感じたロキは、「ドワーフ(黒い妖精)たちに頼んで、以前よりも美しく、本物の髪のように成長する純金の髪を作らせる」と約束しました。ロキはドワーフの名工イーヴァルディの息子たちに金を渡し、見事な金の髪を作らせました(ついでに神槍グングニルなども作られました)。この際の賭け事がきっかけで、トールのハンマー「ミョルニル」も作られることになります。つまり、シフの髪が剃られなければ、北欧神話の強力な宝具たちは生まれなかったのです。
映画でのシフ
戦う女神
MCU(マーベル映画)の『マイティ・ソー』シリーズでは、シフはトールの幼馴染であり、剣と盾を持って最前線で戦う勇敢な女戦士として描かれています。神話の貞淑な妻のイメージとは異なりますが、彼女の芯の強さを現代的に解釈した姿と言えるでしょう。
まとめ
災い転じて福となす。シフにとってはとんだ災難でしたが、彼女の金髪事件は結果としてアース神族に強力な武器をもたらし、北欧神話の世界をより豊かに彩ることになったのです。