北欧神話の乗り物といえばスレイプニルが有名ですが、豊穣神フレイが乗るのは金色のイノシシです。その名はグリンブルスティ(黄金のたてがみ)。雷神トールのハンマー「ミョルニル」と共に作られたドワーフの最高傑作の一つであり、空を駆け、海を走り、その輝きで夜をも昼に変えるという、とんでもないスーパー・イノシシです。
ロキの賭けから生まれた
宝物対決
悪戯好きの神ロキが、ドワーフの兄弟(ブロックとエイトル)を挑発し、「神々に捧げる最高の宝物を作れるか?」と賭けをした際に作られました。兄弟が炉に豚の皮を投げ込み、ロキがハエに化けて妨害工作(ブロックの目を刺すなど)をしたにも関わらず、見事に完成したのがこのイノシシです。
性能評価
完成品を受け取ったフレイ神は、「どんな馬よりも速く、空でも海でも走ることができる。また、どんな暗闇でも、この黄金の毛の輝きで明るくなる」と絶賛しました。トールのミョルニル(最強の武器)には及びませんでしたが、間違いなく神話級のオーパーツです。
フレイの相棒
葬儀にも参列
光の神バルドルが死んだ際の壮大な葬儀には、多くの神々が参列しました。オーディンは戦車で、フレイヤは猫の戦車で来ましたが、フレイはこのグリンブルスティが引く戦車(あるいは背中に乗って)駆けつけたと記されています。
ヒルディスヴィーニとの違い
フレイヤも「ヒルディスヴィーニ(戦いの猪)」という猪を持っていますが、これは人間の愛人オッタルが変身した姿であり、グリンブルスティとは別物です。北欧ではイノシシは豊穣と武勇の象徴として愛されていました。
クリスマスのハムの起源?
ユールと供物
北欧の冬至祭「ユール」では、豊穣の神フレイとグリンブルスティに感謝を捧げるため、イノシシ(豚)を生贄として食べました。これが後にキリスト教と混ざり、クリスマスのご馳走としてハムやローストポークを食べる風習に繋がったと言われています。
まとめ
ただの家畜と侮るなかれ。グリンブルスティは、北欧の厳しい暗闇を照らし、豊かさを運んでくる希望の光そのものだったのです。