高級車マセラティのエンブレムや、某ガムの名前、そして海軍のミサイル名称としても有名なトライデント。これはギリシャ神話の海皇ポセイドン(ローマ神話ではネプチューン)が振るう三叉の槍のことです。単なる「魚突き」の巨大版だと思っていませんか?神話におけるトライデントは、一撃で大陸の地図を書き換えるほどの「地形操作兵器」でした。
嵐と地震を呼ぶ災害装置
大地を揺らす者
ポセイドンの異名は「エンノシガイオス(大地を揺らす者)」です。彼がトライデントで海底や地面を強く突くと、大地が震え、激しい地震が発生し、大津波が巻き起こります。怒りに任せて一突きすれば、島が沈没して海になったり、逆に海底が隆起して新しい島ができたりと、地形そのものを物理的に変えてしまう力がありました。
キュクロプスの傑作
この武器は、自然に生まれたものではなく、ティターン神族との大戦争(ティタノマキア)の際に、一つ目の巨人キュクロプスたちによって作られました。ゼウスの雷霆(ケラウノス)、ハデスの隠れ兜(キュネー)と共に、「冥界の鍛冶場」で生み出されたオリュンポス三大兵器の一つであり、神々の勝利を決定づけたアイテムです。
破壊だけではない創造の力
水源と馬の創造
トライデントは破壊だけでなく、恵みをもたらす道具でもあります。乾燥した大地を突いて清らかな泉を湧き出させたり、岩を砕いて川を作ったりしました。アテナイの守護神を決めるアテナとの争いでは、アクロポリスの岩を突いて塩水の泉(または馬)を出現させましたが、アテナがオリーブの木を生やしたため、判定負けしてしまいました。
ポップカルチャーでの扱い
『リトル・マーメイド』のトリトン王が持っているのもこのトライデントであり、王権の象徴として描かれます。ゲーム『Minecraft』では、水中で投げると戻ってくる魔法の武器として登場し、現代の子供たちにも「海の最強武器」として認知されています。
まとめ
トライデントは海の支配権そのものであり、その切っ先は常に人類への畏怖(地震や津波)を突きつけています。美しくも恐ろしい、大自然の絶対的な力を象徴する至宝です。