誰が「神々の王」であるかを決定づけるのは、力ではありません。たった一枚の石版です。「天命のタブレット(トゥプ・シマティ)」を手にした者は、宇宙の運命を定め、あらゆる神を従える絶対的な権力を手にします。それはまさに、神話世界の管理者権限(Admin)そのものでした。
神々ですら欲する絶対権力
ティアマトからキングーへ
天地創造の叙事詩『エヌマ・エリシュ』によれば、この石版は元々、原初の女神ティアマトが持っていました。彼女は息子であり夫でもある怪神キングーにこれを与え、彼を神々の軍団の長に任命しました。胸にこの石版を抱いている限り、キングーの命令は絶対的な強制力を持ちました。
マルドゥクの勝利
しかし、バビロニアの主神マルドゥクはティアマトとの戦いに勝利し、キングーから石版を奪い取ります。そして自らの胸にそれを押し当て、正式に「神々の王」としての地位を確立しました。
アンズー鳥の強奪事件
エンリル神の油断
別の神話では、最高神エンリルが沐浴をしている隙に、怪鳥アンズーがこの石版を盗み出すという事件が起きます。アンズーは石版の力を使って、神々の攻撃を「無効化(言葉で命令して、矢を元の素材に戻してしまう)」し、軍神ニヌルタを苦しめました。これは、石版の力が「兵器」ではなく「現実改変」に近いことを示唆しています。
【考察】法と秩序の象徴
メソポタミア文明は法治国家の先駆けです。「石版に書かれたことが現実になる」という概念は、ハンムラビ法典のように「書かれた法が絶対である」という古代人の世界観を反映していると言えるでしょう。FGOではキングゥやティアマトに関連する重要アイテムとして、その強大な魔力が描かれています。
まとめ
天命のタブレットは、宇宙を動かすプログラムコードが刻まれたメモリーのような存在です。それを持つ者に相応しい器量がなければ、世界はたちまちカオスに陥ることでしょう。