古代インドの核戦争とも形容される、スケールの大きすぎる叙事詩『マハーバーラタ』。その大戦争で、主人公の射手アルジュナが振るった最強の弓がガンディーヴァです。炎神アグニから授かったこの弓は、現代兵器で言えば「弾数無限のガトリングガン」に相当する、個人の武力を軍隊レベルにまで引き上げるチートアイテムでした。
森を焼いたお礼
消化不良のアグニ神
ある時、炎神アグニは体調を崩し、「カンダヴァの森を燃やして薬草ごと食べ尽くしたい(消化不良を治したい)」と願いました。しかし、森にはインドラ神の友人が住んでいたため、アグニが火をつけるたびにインドラが雨を降らせて消していました。困ったアグニはアルジュナとクリシュナに助けを求め、見返りとして与えたのが、かつて創造神ブラフマーが作り、海神ヴァルナが管理していた神弓ガンディーヴァと、矢が尽きない魔法の矢筒でした。
決して折れない弓
ガンディーヴァは100万本の矢を放っても弦が緩まず、どんな強敵と激しく打ち合っても折れることはありませんでした。アルジュナはこの弓を使って、雨のように矢を空へ放ち、インドラの雨を空中で相殺して「矢の傘」を作り、見事に森を焼き尽くすことに成功しました。
神への返還
英雄の引退
クル・クシェートラの大戦争が終わり、多くの英雄が散った後、老いたアルジュナは一族の婦女子を守りながら旅をしていました。その途中、ただの盗賊団の襲撃を受けます。アルジュナはガンディーヴァを構えましたが、かつてのように引くことができず、また矢も尽きてしまいました。「時代が終わった」と悟った彼は、アグニ神の助言に従い、この弓を海に投げ入れ、ヴァルナ神の元へ返したとされています。
まとめ
ガンディーヴァは単なる強力な武器ではなく、英雄の全盛期とその終わりを告げる象徴です。無敵の弓が引けなくなった時こそが、神話の時代が終わり、人間の時代が始まった瞬間でした。