どんな魔術による防御も、この槍の前では紙切れ同然です。ゲイ・ジャルグは、ケルトの英雄ディルムッドが愛用した「赤の槍」です。相手にかかった魔法を打ち消し、肉体を直接切り裂くこの槍は、魔術師や不死身の怪物にとっての天敵でした。
破魔の能力
魔法の鎧を貫通する
神話において、ゲイ・ジャルグは「いかなる魔法の加護も受け付けない」という特性を持っていました。どれほど強力な硬化魔法や、幻影による目くらましを使っても、この槍は真実を突き刺します。これは、実力勝負を好む戦士たちにとって、最も厄介で、最も頼もしい能力でした。
黄の槍との対比
ディルムッドはもう一本、**「ゲイ・ボー(黄の槍)」**を持っていました。ゲイ・ジャルグが魔法無効なら、ゲイ・ボーは「必ず傷を与える(必中)」能力を持っていたとされます。彼は敵のタイプに合わせて、この赤と黄の槍を使い分けていました。
Fate/Zeroでの活躍
破魔の紅薔薇
アニメ『Fate/Zero』において、ランサー・ディルムッドの宝具として「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」の名で登場し、一躍有名になりました。作中では、セイバーの「風王結界」を無効化したり、魔力で編まれた鎧を素通りして傷を負わせたりと、その「アンチ・マジック」性能を遺憾なく発揮しました。
癒えない傷
また、この槍による傷は「魔力による治癒」も無効化するため、一度刺されると回復魔法で治すことができず、地味ながら致命的な呪いとして相手を苦しめました。これは「魔法無効」という特性を拡大解釈した見事な設定と言えます。
名前の意味
赤い投げ槍
ゲール語で「Gáe」は槍、「Dearg」は赤を意味します。直球なネーミングですが、戦場で返り血を浴びてさらに赤く染まるその姿は、敵に恐怖を植え付けたことでしょう。
近代ファンタジーの元祖
「魔法無効化(ディスペル)」効果を持つ武器という設定は、RPGなどでは定番ですが、その元祖の一つがこのゲイ・ジャルグです。魔法が実在する世界観において、「魔法を否定する」力がいかに強力であるかを物語っています。
【考察】現実の重み
幻想を打ち砕く
魔法とは、ある種の「嘘」や「超越的なルール」です。それを無効化するゲイ・ジャルグは、ファンタジーの世界に「冷徹な物理法則(現実)」を突きつける武器と言えます。どんなに飾り立てても、刺されれば痛いし、死ぬ。戦いの残酷な真実を体現しているのです。
まとめ
ゲイ・ジャルグは、策を弄する魔術師たちへの最強のカウンターです。小手先の魔法に頼る者は、この赤い閃光が走った瞬間、己の無力を知ることになるでしょう。