古代エジプトの壁画で、片手を上げ、勃起した姿で描かれる神ミン。見た目のインパクトは絶大ですが、彼は生命の根源である「生殖」と「豊穣」を司る、極めて神聖で重要な神様です。
ミンとはどのような神か?
ミンはエジプト最古の神の一柱で、コプトスやアクミムで崇拝されました。直立した男根は尽きることのない生命力の象徴です。また、東方砂漠への旅人の守護神でもありました。後にアメン神と習合し「アメン・ミン」となることもあります。
神話での伝説とエピソード
聖なるレタス
彼の好物はレタス(乳液が出ることから精液の象徴とされた)で、祭の際には大量のレタスが捧げられました。
ファラオの儀式
即位祭や収穫祭において、ファラオはミン神に捧げ物をし、自らの生殖能力と、王国の繁栄(豊作)を祈願する「ミン神の祭り」を行いました。
戦士たちの留守
ある神話では、男たちが全員戦争に出払っている間、ミンだけが村に残り、女たちを守りました(そして全員妊娠させました)。帰ってきた男たちは最初は怒りましたが、結果として村の人口が増え、繁栄したことから、彼を豊穣の神として崇めるようになったという、ユーモラスかつ生命力にあふれた伝承があります。
現代作品での登場・影響
現代の検閲
そのあまりに露骨な姿ゆえに、ヴィクトリア朝時代の学者たちは写真を撮る際に腰から下を隠したり、現代の教科書でも修正されたりすることがあります。
砂漠の旅
紅海へと続くワディ・ハンママートなどの採石場や交易ルートの守り神として、多くの碑文が残されています。
収穫祭の儀式
ミンの祭りでは、ファラオ自らが儀用の鎌を持って穀物の最初の束を刈り取り、ミン神に捧げる儀式が行われました。その際、聖なる白い雄牛もパレードに参加しました。この雄牛はミン神の化身とされ、特別な印を持つ牛が全国から探し出されて大切に飼育されました。この儀式は、国家の経済基盤である農業の安定を祈る、政治的にも極めて重要なイベントでした。
【考察】その強さと本質
原始的な力
性的なタブーが存在する前の、あるいはそれを超越した、生命の増殖に対する純粋な喜びと崇拝の形です。
まとめ
命を生み出す力、それこそが最強の神秘。ミン神の堂々たる姿は、生命賛歌そのものです。