「輝く顔のディルムッド」と称えられる、フィオナ騎士団最強の戦士の一人。しかし彼の運命は、妖精から与えられた「愛の黒子」と、主君の妻グラニアとの禁断の愛によって、悲劇的な逃避行へと狂わされていきます。
呪いのような愛の黒子
見る者を魅了する
彼の頬にある**黒子(ほくろ)**は、見た女性を無条件で恋に落とすという魔法がかかっていました。これに主君フィン・マックールの花嫁となるはずだった王女グラニアが魅入られ、彼に騎士の誓い(ゲッシュ)を利用して駆け落ちを強要したのです。
二本の魔槍
彼は「ゲイ・ジャルグ(赤棘の槍)」と「ゲイ・ボウ(黄柄の槍)」の二振りの魔槍を使い分けました。前者は魔法を打ち消し、後者は決して傷が癒えない呪いを持つとされ、あらゆる敵を打ち倒しました。
騎士道と愛の板挟み
主君フィンへの忠誠心と、グラニアへの愛(とゲッシュによる強制)の間で苦悩し続けた彼の人生は、ケルト神話の中でも屈指の悲劇です。彼は決して主君を裏切りたくはなかったのですが、騎士としての誓い(ゲッシュ)を守るためには駆け落ちせざるを得ませんでした。最期まで騎士としての誇りを失わず、魔猪と相討ちになった彼の姿は、多くの人々の涙を誘いました。
Fate/Zeroでの悲劇の騎士
忠義と裏切り
『Fate/Zero』ではランサーとして召喚。セイバー(アルトリア)との騎士道に乗っ取った決闘を望みましたが、マスターの策略により自害を命じられるという、史実以上に救いのない最期を遂げました。『FGO』ではセイバークラスとしても登場し、本来の武人としての実力を遺憾なく発揮しています。
現代への影響
彼(彼女)の伝説は、現代のポップカルチャーにも多大な影響を与えています。小説、漫画、ゲームなど、様々なメディアで描かれるその姿は、世代を超えて多くの人々を魅了し続けています。史実(神話)とフィクションが入り混じることで、キャラクターとしての深みが増し、新たな「英雄像」として再構築されていると言えるでしょう。私たちは物語を通じて、彼らの生きた時代や想いに触れることができるのです。
神話のトリビア
名前の由来と養父
ディルムッド・オディナの名は「愛されない者」という意味を持つとも解釈されますが、皮肉にも彼は誰よりも愛される運命にありました。愛の神オングスが彼の養父であり、彼が危機に陥るたびに介入して助けようとしました。しかし、運命の歯車は神の力をもってしても止めることはできず、彼は破滅へと向かっていきました。
まとめ
愛に愛され、愛に裏切られた騎士ディルムッド。その波乱の生涯は、美しさというものが時として呪いになることを私たちに教えてくれます。