ファンタジーRPGにおいて「最強の剣」といえば、まず間違いなくこの名前が挙がるでしょう。エクスカリバー。ブリテンの伝説的君主、アーサー王が振るったこの聖剣は、王権の強さと正当性を象徴するアイテムです。しかし、実は剣本体よりも、セットになっていた「鞘(さや)」の方がチート級に強かったという衝撃の事実をご存知でしょうか?
石に刺さっていたのは別の剣?
カリバーンとエクスカリバー
多くの物語で混同されがちですが、若きアーサーが王になるために引き抜いた「石に刺さった選定の剣」は、一般にカリバーン(またはクラレント)と呼ばれる別の剣です。カリバーンはペリノア王との決闘の中で折れてしまい、武器を失ったアーサーのために、魔術師マーリンが新たな剣の手配をしました。
湖の乙女からの贈り物
マーリンに導かれて湖の畔に行くと、水面から白い腕が突き出ており、その手が美しい剣を捧げ持っていました。これこそがエクスカリバーです。この剣はケルト神話の異界(アヴァロン)からもたらされた神造兵装であり、人の手で作られたものではない神秘を秘めていました。
真の能力は「鞘」にあり
決して血を流さない加護
エクスカリバーの刀身は「30本の松明を束ねたような輝き」を放ち、敵の目をくらませて圧倒しましたが、それ以上に重要なのが魔法の鞘です。この鞘を腰に帯びている限り、持ち主はいかなる傷を受けても一滴も血を流すことがないとされました。つまり、実質的な「不死」と「無敵」を約束するアイテムだったのです。
マーリンの忠告と喪失
魔術師マーリンは「剣よりも鞘を大切にせよ」と何度も忠告していましたが、アーサー王は異父姉であり魔女のモルガン・ル・フェイに心を許してしまい、彼女の策略によってこの鞘を盗まれてしまいます。アヴァロンの加護を失ったアーサー王は、反逆者モードレッドとのカムランの丘の戦いで致命傷を負い、伝説の幕を閉じることになるのです。
湖への返還
ベディヴィエールの躊躇い
瀕死の重傷を負ったアーサー王は、最後の忠臣ベディヴィエールに剣を湖へ返すよう命じます。しかし、あまりにも美しく強力な剣を捨てることを惜しんだ騎士は、二度嘘をついて隠そうとしました。王に見抜かれて諭され、三度目にようやく湖に投げ込むと、水面から再び手が現れて剣を受け取り、3回振り回してから静かに沈んでいきました。王の剣は、王の死と共に、本来あるべき異界へと還っていったのです。
まとめ
輝ける勝利の剣と、不死の守りを与える鞘。攻守揃った最強の武具であったエクスカリバーは、主君の力だけでなく、それを失うことの脆さや儚さもあわせ持つ、物語性の高い聖剣です。