ファンタジーRPGで最強クラスの槍として登場する「ブリューナク」。光ったり、5つに分裂して敵を追いかけたりと、派手なエフェクトが印象的です。しかし、実はこの「ブリューナク」という名前、ケルト神話の原典には存在しないことをご存知でしょうか?日本人が愛してやまないこの魔槍の、意外な正体を明かします。
ブリューナクとは?
誤訳から生まれた伝説
1990年代、日本のファンタジー解説本において「太陽神ルーが持つ槍の名はブリューナクである」と紹介され、広まりました。しかし近年の研究で、これは「投擲(throwing)」や「槍(weapon)」を意味する一般名詞が、固有名詞として誤って翻訳されたものである可能性が高いとされています。ルーの槍は本来「アラドヴァル」や単に「ルーの槍」と呼ばれていました。しかしかっこいい響きゆえに、日本ではブリューナクの名で完全に定着しました。
5つに分かれる穂先
「穂先が5つに分かれて飛んでいく」という能力も、実は出典不明瞭です。神話においては「投げれば必ず命中し、自動で手元に戻る」「稲妻を放つ」「血を求めて勝手に暴れるため、ケシの汁に浸して鎮める」といった描写がなされています。5つに分かれるイメージは、後世の創作か、他の武器との混同(例えばシヴァの三叉槍など)から生まれたと思われます。
ルー神の万能の力
イル・ダナ(万能の神)
持ち主であるルーは、剣術、槍術、魔術から医術、詩歌、鍛冶に至るまで、あらゆる技能を極めた「イル・ダナ(万能の神)」です。ブリューナクは、そんな彼の万能さを象徴する武器として描かれます。遠距離からの投擲で敵軍を薙ぎ払う様は、まさに雷撃そのものでした。
ゲームでのブリューナク
最強の全体攻撃
「ロマンシング・サ・ガ」シリーズなどの影響で、敵全体に大ダメージを与える強力な技として描かれることが多いです。また、「女神転生」シリーズでは氷結属性の最強クラスの銃やスキルとして登場することもあり、作品によって扱いは様々ですが、総じて「神クラスの武器」であることは共通しています。
【考察】なぜ人気が出たのか?
響きのカッコよさ
「ブリューナク」という響きには、何か破壊的で鋭いイメージがあります。ゲイ・ボルグ(クー・フーリンの槍)と並び、ケルト神話を代表する「二大魔槍」として対比させやすかったことも、ゲームクリエイターたちに愛された理由の一つでしょう。
まとめ
名前が誤りであろうと、そのイメージが創作であろうと、ブリューナクが私たちに与えた興奮は本物です。それは現代日本で独自の進化を遂げた、新しい神話の槍なのかもしれません。