「聖職者は刃物を持ってはいけない(血を流してはいけない)」という教えから、メイス(棍棒)を持つ僧侶のイメージが一般的ですが、アルマスの持ち主は違います。ランスの大司教テュルパンは、この聖剣を片手に戦場を駆け回り、異教徒を千人斬りしたという、歴史上最も「物理」で戦った聖職者の一人です。
ローラン、オリヴィエと並ぶ名剣
氷の剣?
フランス最古の叙事詩『ローランの歌』において、アルマス(オートクレール、デュランダルと共に三大聖剣とされることも)はテュルパンの愛剣として登場します。名前の由来は定かではありませんが、ノルウェーの言葉で「氷」や「鉄」を意味するという説があり、現代のゲーム作品では氷属性の剣として設定されることが多くあります。
大司教テュルパンの武勇
祈りより物理
テュルパンはただの後方支援職ではありません。ロンスヴォーの戦いでは、敵に包囲されながらもアルマスを振るって奮戦し、最後の一兵になるまで戦い続けました。瀕死の重傷を負いながらも、仲間の遺体に祝福を与えて息絶えた彼の最期は、騎士道精神の鑑として描かれています。
聖職者と武器と伝説
歴史的にも、中世の聖職者が自衛や戦争のために武器を取ることは珍しくありませんでした。しかし、テュルパンのように名剣を持って最前線で無双する司教は、物語ならではのロマンと言えます。彼の存在は、「信仰」と「暴力」という矛盾する要素を力技で統合した、中世騎士道文学のユニークなアイコンです。また、『テュルパン年代記』という偽書も存在し、彼の人気ぶりが窺えます。
ゲームでの扱い
『ファイナルファンタジーXI』などのRPGでは、片手剣として登場したり、魔法攻撃力を高める装備として設定されることが多いです。これは「魔法使い(聖職者)が持つ剣」というイメージが現代のファンタジー観に定着している証拠と言えるでしょう。
まとめ
アルマスは、信仰と武力が不可分だった中世の空気を今に伝える剣です。聖なる光と、戦場の血の匂いを同時に纏った、実戦的な聖剣と言えるでしょう。