中世フランスの武勲詩『ローランの歌』の主人公であり、シャルルマーニュ(カール大帝)に仕えた十二勇士の筆頭、ローラン。彼は不滅の聖剣デュランダルを振るい、イスラム軍との戦いで獅子奮迅の活躍を見せました。しかし、その勇気ゆえの過信が彼を死地へと追いやります。後世の物語では失恋して全裸で暴走するなど、ユニークなエピソードも多い英雄の真実に迫ります。
聖剣デュランダルの主
黄金の柄の聖剣
ローランの代名詞といえば、天使から授かった(あるいはヘクトールから受け継いだ)聖剣デュランダルです。その柄には聖ペテロの歯や聖バジルの血など、数々の聖遺物が収められており、決して折れることも刃こぼれすることもない最強の剣と謳われました。
勇気か、無謀か
彼は勇猛果敢な騎士でしたが、同時に頑固でプライドが高い性格でもありました。親友オリヴィエからの「援軍を呼ぶために角笛を吹いてくれ」という忠告を「臆病者のすることだ」と拒否し続け、結果として軍を全滅させてしまうことになります。
ロンスヴォー峠の悲劇
孤立無援の戦い
裏切り者ガヌロンの計略により、ローラン率いる後衛部隊は40万もの大軍に包囲されます(ロンスヴォーの戦い)。彼はデュランダルで敵をなぎ倒し奮戦しますが、多勢に無勢、味方は次々と倒れていきました。
遅すぎた角笛
死を覚悟したローランは、ついに角笛オリファンを吹きます。あまりに強く吹きすぎたため、彼のこめかみの血管は破裂し、脳漿が飛び出したと伝えられています。駆けつけたシャルルマーニュが見たのは、敵の死体の山の上で、聖剣を抱いて天に召されたローランの姿でした。死の間際、敵に渡すまいと岩に叩きつけたデュランダルは、岩の方を両断して傷一つ付かなかったといいます。
狂えるオルランド
裸の英雄
ルネサンス期の叙事詩『狂えるオルランド』では、失恋のショックで発狂し、全裸になって森を破壊して回るという衝撃的な姿が描かれています。最終的に月から持ち帰った理性の瓶を嗅いで正気に戻りますが、この強烈なエピソードにより、現代(特にFGOなど)では「露出狂の変態だが見た目はイケメン」という強烈なキャラ付けをされることが多くなりました。
【考察】騎士道の光と影
理想的な死に様
ローランの物語は、主君のために戦い、異教徒相手に潔く散るという、当時のキリスト教社会における「理想的な騎士の死」をプロパガンダ的に描いた側面があります。しかし、その死因が自らの慢心(角笛を吹かなかったこと)にあるという点は、英雄といえども完全ではないという人間的な教訓を含んでいます。
まとめ
悲劇の将軍でありながら、どこか人間臭い愛嬌も持つローラン。彼が遺した聖剣伝説と、岩を砕くほどの情熱は、今も色あせることなく語り継がれています。