剣よりも強く、黄金よりも重い武器。それは「言葉」です。恋愛において相手をその気にさせ、政治において民衆を熱狂させる「説得」を神格化したのが女神ペイトーです。アフロディーテの側近として、暴力を使わずに人の心を支配する彼女の力は、現代社会でこそ最強かもしれません。
恋のキューピッドの黒幕
「その気」にさせる力
エロスが矢で恋心を植え付けるなら、ペイトーは甘い言葉と雰囲気作りで「合意」に持ち込む役割を担います。ヘレネを説得してトロイアへ駆け落ちさせたのも、パリスへの愛を囁き続けたペイトーの働きがあったからだと言われています。
民主主義と説得
アテナイでの信仰
アテネでは、ペイトーは政治的な説得や弁論の守護神としても崇拝されました。力による支配ではなく、議論と同意によって物事を決める民主主義において、「説得する力」は何よりも尊い神聖な能力と見なされていたのです。
まとめ
ペイトーは、人間関係や社会を円滑に回す「コミュニケーション」の本質を司る神であり、強制ではなく同意形成こそが文明的な解決策であることを象徴しています。