シファクティヌス(Xiphactinus)は、白亜紀後期の海(西部内陸海路)を生きた巨大な硬骨魚です。現代のアロワナやタポンに近い仲間ですが、サイズは桁違いで、ホオジロザメに匹敵する大きさがありました。その恐ろしい顔つきから「ブルドッグフィッシュ」とも呼ばれ、当時の海で最も貪欲な捕食者の一つでした。
地獄の口
下顎が前方に突き出し、口には不揃いで巨大な牙が乱立していました。この口を大きく開け、獲物を丸ごと吸い込むようにして捕食しました。シファクティヌスの胃の中からは、2メートル近い魚(ギリクス)が丸々1匹、消化されないまま見つかった有名な化石(「魚の中の魚」)があります。これは彼らが自分の体の半分近い大きさの獲物にも襲いかかり、時には飲み込みすぎて死んでしまうほど貪欲だったことを物語っています。
海の暴走族
体は流線型で筋肉質であり、巨大な尾ビレを使って爆発的なスピードで泳ぐことができました。海面付近を高速で泳ぎ回り、小魚の群れや海鳥、時には小型の海生爬虫類にさえ襲いかかったでしょう。彼らは当時の海におけるトップアスリートのような存在でした。
強敵だらけの海
シファクティヌスは強力な捕食者でしたが、無敵ではありませんでした。同じ海域には、さらに巨大なモササウルス類(ティロサウルスなど)や首長竜(エラスモサウルス)、大型のサメ(クレトキシリナ)が生息していました。シファクティヌスの化石には、サメに噛まれた痕跡や、消化された骨が発見されることもあり、彼らもまた「食うか食われるか」の食物連鎖の一部だったのです。
まとめ
シファクティヌスは、恐竜時代の海がいかに危険でエネルギッシュな場所だったかを象徴する魚です。その飽くなき食欲は、化石となってもなお私たちを戦慄させます。