プシッタコサウルス(Psittacosaurus)は、白亜紀前期のアジアに広く分布していた小型の植物食恐竜です。学名は「オウムトカゲ」を意味し、その名の通りオウムのように湾曲した鋭いくちばしが特徴です。トリケラトプスなどの有名な角竜類の非常に初期の祖先にあたりますが、立派な角やフリルはまだ発達しておらず、二足歩行を行うなど、見た目はかなり異なっています。
尾の剛毛と体色
非常に保存状態の良い化石が見つかっており、尾の上側に長い「剛毛(クイル)」の束が生えていたことが分かっています。これは羽毛の原始的な形態か、あるいはディスプレイ用の装飾だったと考えられます。さらに、メラノソーム(色素細胞)の分析により、背中側は暗く腹側は明るい「カウンターシェーディング」という迷彩柄を持っていたことまで判明しています。これは彼らが森の中で身を隠して生活していたことを示唆しています。
硬いものを砕く顎
オウムようなくちばしと強力な顎の筋肉を持っており、硬い植物の種子やナッツ類をバリバリと噛み砕いて食べていたと考えられます。胃の中からは「胃石」も見つかっており、飲み込んだ石で消化を助けていました。小型ながらも頑丈な頭骨は、身を守るための武器としても使われたかもしれません。
子育ての証拠
1体の成体と34体もの幼体が一緒に埋まった化石が発見されており、プシッタコサウルスが子育てを行い、群れで生活していた強力な証拠とされています。幼い個体を大人が守りながら、危険の多い白亜紀の森を生き抜いていたのです。当時、彼らを狙う捕食者には、羽毛恐竜のシノカリオプテリクスや大型哺乳類のレペノマムスなどがいました(実際にレペノマムスの胃の中からプシッタコサウルスの幼体が見つかっています)。
まとめ
プシッタコサウルスは、最も個体数の多い恐竜化石の一つであり、恐竜の生態を知る上で極めて重要な存在です。角竜類の進化の原点を知る鍵が、この小さな「オウムトカゲ」に隠されています。