オベロンは、西洋文学における最も有名な妖精王です。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』の登場人物として広く知られ、妻である女王ティターニアと共に、月夜の森を支配する高貴で気まぐれな存在として描かれます。
『真夏の夜の夢』での活躍
惚れ薬とトラブルメーカー
物語の中で、オベロンは妻ティターニアと「インドの美少年」を巡って喧嘩をしています。彼は腹いせに、配下の妖精パックに命じて「寝ている間に瞼に塗ると、目覚めて最初に見たいものを好きになる惚れ薬」を使わせますが、これが人間たちを巻き込んだ大騒動へと発展します。
威厳ある王
悪戯好きではありますが、最終的にはすべての魔法を解いて事態を収拾し、人間たちの結婚を祝福する、調停者としての威厳も見せます。
オベロンの起源
ユーオン・ド・ボルドー
シェイクスピア以前、13世紀のフランス叙事詩『ユーオン・ド・ボルドー』に登場するオベロンは、「絶世の美男子だが、呪いによって3歳の子供の背丈しかない」ドワーフの王として描かれています。
魔法の道具
彼は、嘘をついた者を踊らせる「魔法の角笛」と、尽きることのないワインを生み出す「魔法の杯」を持っており、これらのアイテムで主人公を助けました。一説には、彼はジュリアス・シーザーと魔女モルガン・ル・フェイの息子であるとも語られています。
現代のオベロン像:Fate/Grand Order
大人気ゲーム『FGO』では、第2部第6章の主要キャラクターとして登場し、爆発的な人気を博しました。ここでは**「嘘つき」**という性質がクローズアップされ、蝶の羽を持つ儚くも恐ろしい「終末の装置(ヴォーティガーン)」としての側面が描かれ、従来の妖精王のイメージをアップデートしました。
まとめ
オベロンは、古典的な「森の支配者」としての顔と、現代的な「底知れぬトリックスター」としての顔を併せ持つ、進化し続ける妖精王です。時代や作品によって姿を変えながらも、常に物語の中心で異彩を放ち続けるそのカリスマ性は、まさに王と呼ぶにふさわしいものです。