「願い事を3つ言え」。魔法のランプを擦ると現れる万能の魔人。ディズニー映画『アラジン』のジーニーとして世界中で愛されていますが、本来のジンは人間とは異なる次元に住む、恐ろしくも神秘的な隣人たちです。
煙のない炎から生まれた種族
人間、天使、そしてジン
イスラム教の聖典『クルアーン』によれば、神は光から天使を、土から人間を、そして**「煙のない灼熱の火」**からジンを創ったとされています。彼らは霊的な存在ですが、人間と同じように自由意志を持ち、食事もし、結婚もし、寿命もあります。中にはイスラム教を信仰する「善いジン」もいれば、人間に害をなす「悪いジン」もいます。
イフリートとの関係
ファンタジーでおなじみの炎の魔人イフリートも、実はジンの階級の一つです。ジンの中でも特に強力で、狡猾かつ邪悪な性質を持つものがイフリートと呼ばれます。
なぜランプに入っているのか?
ソロモン王の封印
古代イスラエルの賢王ソロモンは、神から授かった指輪の力で多くのジンを使役したと言われています。彼は逆らうジンたちを真鍮の壷やランプに封印し、海に投げ捨てました。『アラビアンナイト』に登場する「壺から出てくる魔人」は、このソロモン王によって封印され、何百年もの間解放を待ちわびていた元囚人たちなのです。
願いを叶えるリスク
悪魔の契約
ディズニー版のような陽気で親切なジンは稀です。本来の伝承におけるジンは気まぐれで、願いを叶える際にも言葉の裏をかいたり、代償を求めたりすることがあります。「猿の手」のように、願った結果として不幸が訪れることも珍しくありません。強大な力を持つ彼らと対等に渡り合うには、相応の知恵と勇気が必要なのです。
【考察】見えない隣人
自然現象の擬人化
砂漠に発生する蜃気楼や旋風(つむじ風)、原因不明の病気。古代のアラブ人は、これら不可解な現象を「目に見えない何か(ジン)」の仕業と考えました。英語の「Genius(天才)」の語源になったとも言われており、人間の能力を超えたひらめきや才能もまた、彼らの贈り物なのかもしれません。
まとめ
変幻自在の肉体と強大な魔力を持つジン。もしも目の前に現れたなら、願いを口にする前に、相手が善か悪かを見極める必要があるでしょう。