「天に倚(よ)りて地を払う」—。その名の通り、天を貫くほどの長大さと切れ味を誇るのが、乱世の奸雄・曹操が自ら佩刀した「倚天の剣」です。青釭の剣が「鋭さ」の象徴なら、倚天の剣は曹操の「覇権」そのものを象徴する至高の武器と言えるでしょう。
曹操の分身として
常に傍らにある剣
青釭の剣は夏侯恩に預けられましたが、倚天の剣は曹操自身が常に帯びていました。これは、彼自身の武勇と権威を示すためのものであり、彼が戦場に立つ際のシンボルでもありました。
名前の由来
「倚天」とは、戦国時代の宋玉の詩にある「倚天長剣(天に寄りかかるほど長い剣)」という言葉に由来すると言われています。文字通り、天をも恐れぬ曹操の気概を表しています。
武侠小説での伝説
倚天屠龍記
金庸の『倚天屠龍記』では、この剣は「天下の覇権を握る秘密」が隠された最強の剣として登場し、武林の英雄たちが血眼になって奪い合う物語が描かれています。「宝刀屠龍、号令天下、倚天不出、誰与争鋒(屠龍刀は天下に号令し、倚天剣が出なければ誰が争えようか)」という対句はあまりにも有名です。
まとめ
倚天の剣は、単なる武器を超えて「支配者」のアイコンとなりました。曹操という巨星が生涯手放さなかったこの剣は、彼と共に三国時代の覇道を駆け抜けたのです。