インドの神様の絵を見ると、4本の腕の一つで人差し指を立て、クルクルと「光る円盤」を回している姿をよく見かけます。あれは単なる聖なる飾りではなく、スダルシャナ・チャクラという極めて凶悪な投擲兵器です。思った瞬間に超高速で飛んでいき、敵の首を切り落として手元に戻る、さながら古代のAI搭載ドローン兵器のような性能を持っています。
「善き見解」という名の処刑具
108の鋸歯を持つ円盤
スダルシャナとは「善き見解(Good Vision)」を意味し、チャクラは「輪」を意味します。神工ヴィシュヴァカルマンが、太陽の輝きの一部を削り取って作ったとされ、直視できないほどの熱と光を放っています。その縁(ふち)には108の鋭い鋸歯(きょし)が並んでおり、触れるものすべてを切り裂きます。
思考速度での攻撃
この武器の最大の特徴は、物質的な動作ではなく、持ち主の意志と思考によって制御されることです。世界の維持神ヴィシュヌ(またはその化身クリシュナ)が「斬る」と思った瞬間、チャクラはすでに敵の首を刎ねています。回避不能の即死攻撃として、叙事詩『マハーバーラタ』などで数々の悪魔や敵対者を葬りました。
シシュパーラの首斬り事件
100回の許しと101回目の処刑
悪王シシュパーラは、クリシュナに対して積年の恨みを持ち、公衆の面前で暴言を吐き続けました。クリシュナはかつてシシュパーラの母に「息子の過ちを100回までは許す」と約束していたため、黙って耐えていました。しかし、シシュパーラが増長して101回目の悪口を口にした瞬間、クリシュナは冷徹に指先のチャクラを放ちました。言葉が終わるよりも早く、悪王の首は胴体から切り離され、床に転がったといいます。
現代への影響
アクションゲームなどにおける「チャクラム(戦輪)」という武器カテゴリーの始祖とも言える存在です。踊り子が使う優雅な武器というイメージもありますが、元ネタは神の怒りを体現する、慈悲なき光の必殺兵器なのです。
まとめ
世界の秩序を維持するためには、時に邪魔な存在を即座に排除する冷徹さも必要です。スダルシャナ・チャクラは、ヴィシュヌ神の愛と表裏一体の「断罪の輝き」なのです。