宝石で作られた美しい虫のアクセサリー。古代エジプト遺跡から大量に見つかるこの「スカラベ」の正体は、なんとフンコロガシです。なぜ彼らは、動物の糞を転がす虫を神聖視し、王の装飾品やミイラの守り神にしたのでしょうか?
太陽を転がす神
日の出の象徴
スカラベ(タマオシコガネ)が丸い糞を転がして運ぶ姿を、古代エジプト人は「太陽が天空を動く様子」に重ね合わせました。さらに、糞の玉から幼虫が生まれてくる様子を見て、「無から生命を生み出す創造神」であると考えたのです。こうしてスカラベは、暁の太陽神ケプリの化身として崇められるようになりました。
ハート・スカラベ
特に重要なのが、ミイラの心臓の上に置かれる「ハート・スカラベ」です。裏面には死者の書の一節が刻まれており、「審判の時、心臓よ、私に不利な証言をするな」と命令する役割を持っていました。心臓が勝手に生前の悪事を喋らないようにするための、スピリチュアルな口止め料だったのです。
【考察】再生への願い
永遠のサイクル
太陽は毎夕沈み、毎朝昇ります。この「死と再生」のサイクルこそがエジプト宗教の根幹です。土の中から這い出してくるスカラベは、死んでもまた蘇ることができるという希望のシンボルでした。小さな虫の中に、宇宙の真理を見出した古代人の感性は驚くべきものです。
まとめ
見た目はちょっとユニークなフンコロガシですが、その背中には太陽と永遠の命が乗せられています。何かに失敗しても、またやり直したい時、スカラベの護符は勇気をくれるかもしれません。