古代ギリシャにおいて、世界の中心はどこにあると考えられていたのでしょうか?その答えこそがオンファロス、「世界のへそ」と呼ばれる聖なる石です。デルポイのアポロン神殿の最深部に安置されていたこの石は、神と人をつなぐ最も重要な聖遺物の一つでした。
ゼウスの実験と世界の中心
二羽の鷲の伝説
神々の王ゼウスは、世界の広さと中心を知るために、世界の東西の端から二羽の鷲(またはカラス)を同時に放ちました。二羽の鳥は同じ速度で飛び続け、やがてパルナッソス山の上空で衝突しました。ゼウスはまさにその場所を世界の中心と定め、天空から石を落として標識としました。
飲み込まれた石
父親を騙した石
別の伝承では、オンファロスはゼウスの父クロノスに飲み込ませた石だと言われています。クロノスは我が子に王座を奪われることを恐れて子供たちを次々と飲み込んでいましたが、ゼウスの母レアは、ゼウスの代わりに産着で包んだ石をクロノスに渡しました。後にゼウスによって吐き出されたその石が、デルポイに祀られたとされています。
まとめ
オンファロスは単なる石塊ではなく、古代の人々が信じた宇宙の秩序(コスモス)の象徴でした。神託の聖地デルポイの権威を裏付ける、最も神聖なオブジェクトと言えるでしょう。