ケルトの英雄ディルムッドが持つ、正真正銘の最強武器。それがモラルタです。「大きな激情(Great Fury)」を意味するこの魔剣は、文字通り**「一振りすれば全ての戦いが終わる」**と謳われるほどの理不尽なまでの破壊力を秘めていました。
海神マナナンの最高傑作
局面を覆すジョーカー
養父マナナン・マクリルから授かったこの剣は、ディルムッドが「ここぞ」という命懸けの冒険においてのみ携行しました。伝承によれば、この剣を抜けば一撃で一帯の敵を薙ぎ払い、どんな劣勢も覆すことができたと言います。まさに勝利を約束された「切り札」でした。
決して刃こぼれしない
物理的な強度も桁外れで、どんな硬い鎧や魔法の障壁も紙のように切り裂いたとされます。ベガルタが「技の剣」なら、モラルタは「力の剣」と言えるでしょう。
家に置いてこられた最強
運命のいたずら
ディルムッドの最期となった猪狩りの日、彼は不吉な予兆を感じていたにも関わらず、なぜかこのモラルタを置いていってしまいました。もし彼がモラルタと、対になる最強の槍ゲイ・ジャルグを装備していれば、魔の猪など敵ではなかったでしょう。
悲劇の演出装置
物語の構造として見れば、モラルタの異常な強さは、逆に「それを使えなかった悔しさ」を強調するために設定されたのかもしれません。最強の武器を持っていながら、選択を誤って命を落とす。この「不完全さ」こそが、ケルト神話の英雄たちの人間味なのです。
現代での評価
Fate/Hollow Ataraxia
『Fate』シリーズでは、本来の持ち主ではないバゼット・フラガ・マクレミッツが、英霊の力の一部としてこの剣(の模造品のようなもの)を使用するシーンがあります。そこでも破壊力は健在でした。
二刀流のロマン
近年では、ベガルタとモラルタの二刀流で戦う姿が描かれることが増えました。本来は使い分けていた二本を同時に振るう姿は、ヴィジュアル的な迫力があり、ディルムッドの真の強さを表現するのに最適です。
【考察】名前の由来
激情という名の警告
「激情(Fury)」という名は、単なる怒りではなく、戦いにおけるアドレナリンや殺意を意味します。大きな激情は全てを破壊しますが、それは制御できなければ自分自身をも焼き尽くす危険な感情です。ディルムッドは普段、この危険な感情(剣)を鞘に収めてコントロールしていた賢明な戦士だったのでしょう。
まとめ
モラルタは、使われなかったことで伝説となった剣です。最強の道具を持っていても、それを適切な時に手に取る「運」と「判断力」がなければ、意味がないことを教えてくれます。