「トロール」と聞いて思い浮かべるのは、巨大な棍棒を持った怪物でしょうか、それともムーミンのような可愛らしい妖精でしょうか?北欧スカンディナヴィアに伝わるこの種族は、時代や地域によってその姿を大きく変えてきました。しかし共通しているのは、人間にとって「異質で不気味な隣人」であるという点です。
トロールとは?
巨人と妖精の境界線
神話の時代、トロールは神々と敵対する「ヨトゥン(巨人)」の一種とみられていました。彼らは山や洞窟に住み、人間をさらって食べたり、財宝を溜め込んだりする恐ろしい怪物でした。一方で、キリスト教伝来以降の民間伝承では、人里離れた場所に住む小柄な妖精のような存在として描かれることもあり、その定義は非常に曖昧です。
日光で石になる
トロールの最も有名な弱点は「日光」です。「ホビットの冒険」に登場する石のトロールのように、彼らは夜行性であり、朝陽を浴びると瞬時に石になってしまいます。北欧の各地にある奇岩巨石は、日光を浴びてしまったトロールの成れの果てだと言い伝えられています。
変遷するイメージ
ムーミン・トロール
日本で最も有名なトロールといえば「ムーミン」でしょう。しかし、原作者トーベ・ヤンソンが描いた初期のトロールは、もっと鼻が長く、少し不気味な妖精でした。彼らは平和的で哲学的ですが、やはりどこか人間とは異なる不思議な存在感を放っています。
ネットスラングとしてのトロール
現代のインターネット用語における「トロール(荒らし)」は、釣り(trolling)から来ていますが、その語源の根底には「場を乱す迷惑な怪物」というトロールのイメージも重なっています。
ゲームでの能力設定
驚異のリジェネレーション
TRPGダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)以降、ゲームにおけるトロールは「再生能力(リジェネレーション)」を持つモンスターとして定着しました。切られてもすぐに傷が塞がり、腕一本からでも再生するような不死身性が特徴です。この再生を止める唯一の手段として「火」や「酸」が弱点に設定されるのがお約束です。
なぞなぞ好き?
「三匹のヤギのがらがらどん」の童話のように、橋の下に住んで通行人に通行料を要求したり、なぞなぞを仕掛けたりする知能犯として描かれることもあります。
【考察】トロールの脅威度
物理攻撃のみでは倒せない
再生能力を持つタイプのトロールは、中途半端な攻撃では倒せません。長期戦になればなるほど、スタミナ無限の彼らが有利になります。火炎魔法や松明など、特定の対抗手段を持っていない冒険者にとっては、ドラゴン以上に厄介な詰み要素となり得ます。
まとめ
時に恐ろしい人食い巨人、時に愛すべき森の妖精。トロールは、北欧の厳しくも美しい自然が生み出した、変幻自在のアイコンなのです。