最高神ヴィシュヌの胸には、常に一つの宝石が輝いています。その名は「カウストゥバ(Kaustubha)」。神々もアスラも魅了したこの石は、世界のあらゆる宝石の中でも最も純粋で、最も価値あるものとされています。インド神話最大の一大イベント「乳海撹拌」が生んだ至宝です。
乳海撹拌の副産物
泡立つ海から
神々とアスラが協力して不死の霊薬アムリタを得るために「乳の海」を撹拌した際、そこからは様々な素晴らしいものが誕生しました。女神ラクシュミー、白馬ウッチャイヒシュラヴァス、そして宝石カウストゥバです。
ヴィシュヌの所有物に
女神ラクシュミーがヴィシュヌを夫に選んだのと同様に、カウストゥバもまたヴィシュヌの胸に飾られる運命にありました。シヴァ神が猛毒ハラーハラを飲み込んだのとは対照的に、維持神ヴィシュヌは最も美しい輝きを手に入れたのです。
純粋意識の象徴
哲学的な意味
ヒンドゥー教の哲学において、カウストゥバは単なる飾りではなく「汚れなき純粋な意識(ジヴァ)」の象徴とされます。ヴィシュヌの胸にあるということは、神がすべての魂の根源であることを示しています。後にヴィシュヌの化身であるクリシュナも、この宝石を身に着けて描かれます。
まとめ
カウストゥバは、混沌(乳海)の中から秩序と美が生まれる瞬間を象徴しています。その輝きは、この世の苦しみを超越した神の平穏そのものなのです。