ダグザの大釜(Cauldron of the Dagda) は、ケルト神話の四至宝の一つで、都市ムリアスから持ち込まれました。最高神ダグザの所有物であり、「Undry(乾かない/尽きない)」とも呼ばれます。この釜から立ち上る湯気は、飢えた人々の食欲を刺激し、そこからよそわれた食事は、どんな大軍勢であっても全員を満腹にさせることができました。
生命の源
満たされることの象徴
この釜の重要性は、単なる「食料無限」に留まりません。ケルト社会において、客人を満足させる「もてなし(ホスピタリティ)」は王の最も重要な資質でした。この釜は、ダグザが真の王であることを示しています。ただし、臆病者や嘘つきには、この釜から肉一欠片さえも得ることはできませんでした。
聖杯への影響
また、後世の物語である『マビノギオン』に登場する「死者を蘇らせる大釜」とも同一視されたり、アーサー王伝説における「聖杯(Holy Grail)」の原型のひとつになったとも考えられています。豊穣と再生を司る、冥界と現世の境界にあるアイテムです。
まとめ
ダグザの大釜は、生命維持への根源的な不安を解消する夢の道具です。それは、古代の人々が渇望した「終わらない宴」と「安らぎ」の具現化なのです。