「食べ物が無限に出てくる器」という夢のようなアイテムは世界中に存在しますが、インド神話における代表格がアクシャヤ・パトラです。『マハーバーラタ』において、追放され森で暮らすことになったパーンダヴァ五兄弟と妻ドラウパディーの飢えを救った救世主的な神器です。
太陽神スーリヤの恵み
飢えを知らぬ器
多くの賢者や客人を森でもてなさねばならず困窮した長男ユディシュティラが太陽神スーリヤに祈りを捧げると、神はこの銅の器を授けました。「ドラウパディーが食事を終えるまでは、どれだけ料理を汲み出しても尽きることはない」という制限付きの無限供給能力を持っていました。
クリシュナの奇跡
一粒の米
ある時、意地悪な仙人が、ドラウパディーが食事を終えて器を洗った直後に「弟子たち全員分の食事を出せ」と押しかけてきました。絶体絶命のピンチに現れたクリシュナが、器に残っていた一粒の米飯を見つけ、それを食べることで「全宇宙の空腹」を満たし、仙人たちを満腹にさせて追い返したという逸話があります。
まとめ
アクシャヤ・パトラは単なる便利アイテムではなく、「他者への施し(ダーナ)」を神聖視するインド文化において、その徳を支えるための究極の慈悲の象徴なのです。