インド二大叙事詩の一つ『マハーバーラタ』において、主人公アルジュナの最大のライバルとして立ちはだかる英雄カルナ。彼は太陽神スーリヤの子として生まれながら、数奇な運命により敵側の将として戦うことになりました。己の不利を知りながらも、友情と信義のために全てを捧げた「施しの英雄」。その生き様は、時に主人公以上に潔く、心を打ちます。
捨てられた太陽の子
黄金の耳輪と鎧
カルナは、王妃クンティーが処女懐胎によって産んだ太陽神の子です。生まれながらに皮膚と一体化した黄金の鎧と耳輪を持っており、これがある限り彼はいかなる攻撃も受け付けない不死身の存在でした。しかし、体面を気にした母によって川に流され、御者(身分の低いカースト)に拾われて育てられます。この「高貴な出自を持ちながら、卑しい身分として扱われる」というコンプレックスが、彼の生涯に影を落とします。
ドゥルヨーダナとの友情
武芸大会でアルジュナに挑戦した際、身分を理由に拒絶されたカルナを救ったのが、カウラヴァ軍の長男ドゥルヨーダナでした。彼はカルナを王として認め、対等な友として扱いました。カルナはこの恩義に生涯報いることを誓い、たとえドゥルヨーダナが悪の道に進もうとも、彼のために戦い抜くことを決意します。
クルクシェートラの戦い
施しの英雄
決戦を前に、アルジュナの父であるインドラ神が、カルナの力を削ぐために僧侶に化けて黄金の鎧をねだりに来ます。カルナは相手がインドラだと見抜いていながら、生まれついての「施しの精神」により、躊躇なく自らの皮膚ごと鎧を剥ぎ取って渡してしまいます。その高潔さに感動したインドラは、代わりに一度だけ神をも殺せる槍(ヴァサヴィ・シャクティ)を授けました。
宿命の対決の結末
戦争が始まり、カルナは数々の呪いによって力を制限され、さらに切り札の槍も別の局面で使わされてしまいます。そしてアルジュナとの一騎打ちの最中、呪いにより戦車の車輪が地に埋まり、それを引き上げようと武器を置いた隙を突かれ、(戦士の掟に反する形で)射殺されました。勝敗を超えたその壮絶な死は、彼を真の英雄として輝かせています。
現代におけるカルナ
Fateシリーズでの人気
『Fate/Extra CCC』や『FGO』では、圧倒的な火力を持つランサーとして登場。無口で冷徹に見えますが、内面は義理堅く、マスターに対して極めて忠実です。「真の英雄は眼で殺す」と言わんばかりの鋭い眼光と破壊神のような強さは、多くのファンを魅了してやみません。
まとめ
全てを奪われ、それでも与え続けたカルナ。太陽のような彼の誇り高い魂は、悲劇の物語の中でこそ、より一層の輝きを放っています。