羊飼いの少年が、たった一つの石で巨人を倒す。ダビデとゴリアテの戦いは、弱者が知恵と勇気で強者を打ち負かす「ジャイアント・キリング」の原点です。後にイスラエルの偉大な王となり、聖書の詩編の作者ともされる多才な英雄。
ダビデとはどのような人物か?
ダビデは古代イスラエルの第2代王であり、旧約聖書における最も重要な人物の一人です。元々は羊飼いの少年でしたが、ペリシテ軍の巨人戦士ゴリアテを一騎打ちで倒したことで名声を博しました。竪琴の名手でもあり、サウル王の悪霊を鎮めたとも言われます。王となってからは周辺諸国を平定し、エルサレムを都としました。ミケランジェロの「ダビデ像」はあまりにも有名です。
伝説とエピソード
ゴリアテとの決闘
サウル王の軍勢がペリシテ軍の巨人ゴリアテに恐れをなしている中、少年ダビデは神への信仰を胸に、鎧もつけずに戦場に出ました。彼は川原で拾った5つの滑らかな石と投石紐(スリング)だけで巨人に立ち向かい、放った石をゴリアテの額に命中させて気絶させ、その首を落としました。
バテシバとの罪
しかし彼は聖人君子なだけではありません。部下の妻であるバテシバを見初め、夫を激戦地に送って戦死させ、彼女を奪うという重い罪も犯しています。この罪により、彼の治世の後半は反乱と悲劇に見舞われることになります。
現代作品での登場・影響
ダビデの星
現在イスラエル国旗にも描かれている「六芒星(ヘキサグラム)」は「ダビデの星(Magen David)」と呼ばれ、ユダヤ教やユダヤ民族の象徴となっています。
芸術のアイコン
ルネサンス期を通じて、理想的な男性の美、あるいは知性と信仰の勝利の象徴として、多くの彫刻や絵画のモデルとなりました。
【考察】その強さと本質
弱者の戦略
ダビデの投石は、重装備の歩兵(ゴリアテ)に対する軽装の遠距離攻撃という、戦術的な理にかなったものでした。正攻法で勝てない相手にルールを変えて挑む「弱者の戦略」の最良の例として、ビジネス書などでも頻繁に引用されます。
まとめ
石ころ一つで運命を変えた少年。その栄光と罪の生涯は、人間という存在の複雑さと、限界を超える可能性を教えてくれます。