荒れ狂う嵐の海ではなく、港に寄せる穏やかな波や、漁業、そして貿易による「富」を司る神様。「金持ちになりたいならニョルズに祈れ」と言われるほど、北欧の人々には現世利益のある神として、オーディン以上に人気がありました。美男美女兄妹として有名なフレイとフレイヤのお父さん、ニョルズの少し変わった結婚と生活を紹介します。
ニョルズとはどんな神か?
ヴァン神族の元リーダー
かつてはヴァン神族の王的な存在でしたが、アース神族との戦争が引き分けに終わった際、和解の証としての人質(交換留学生のようなもの)として、子供たちと共にアースガルズへ移住しました。彼は非常に賢く穏やかな人格者であり、敵対していたオーディンたちからも深く信頼され、高位の神として遇されました。
夏と海の象徴
彼の住む館は「ノアトゥーン(造船所)」と呼ばれ、海辺にあります。彼はカモメの鳴き声と波音を何よりも愛し、夏の海の穏やかさを象徴する存在です。
足で選ばれた結婚
スカジの婿選び
ある時、冬と狩りの女神(巨人族)スカジが、父を殺された賠償を求めてアースガルズに乗り込んできました。神々は賠償の一つとして「神々の中から夫を選ぶ権利」を与えましたが、「足だけを見て選ぶこと」という奇妙な条件をつけました。スカジは「一番綺麗な足だから、きっと美貌のバルドル様に違いない」と思って選びましたが、その足の持ち主はニョルズでした。
離婚と別居
こうして結婚した二人ですが、山育ちのスカジは海のカモメの声がうるさくて眠れず、海好きのニョルズは山の狼の遠吠えが嫌いでした。二人は「9日ずつ山と海に交互に住む」という妥協案を試しましたが、お互いにストレスが限界に達し、結局「山」と「海」に別れて暮らすことになりました。性格の不一致ではなく「住環境の不一致」による離婚の元祖です。
まとめ
ニョルズは、争いを好まず、富と平和をもたらす温厚な神であり、厳しい北欧の自然における「夏の海」の優しさと、異なる文化(山と海)が共存する難しさを教えてくれます。