伊勢といえば天照大御神(アマテラス)ですが、彼女が鎮座するよりずっと昔、この地を治めていた「風の神」がいたことをご存知でしょうか。国譲りの影で風に乗って去っていった貴公子、伊勢都彦の物語です。
国を譲って去った神
アマテラスとの交代劇
『伊勢国風土記』逸文によれば、神武天皇の時代、アメノヒワシという神がやってきて「お前の国を天孫に譲れ」と迫りました。イセツヒコはこれを受け入れ、「私は風に乗って去ろう」と言い残し、大風を起こして東の海へ飛び去ったといいます。
その正体は出雲の神?
タケミナカタとの関係
イセツヒコは「出雲建子命(イズモタケコ)」とも呼ばれ、出雲の神(スサノオやタケミナカタ)の息子であるという説があります。信濃(長野)には、イセツヒコが諏訪まで逃げてきたという伝承も残っており、諏訪大社のタケミナカタと同一視されることもあります。
神風の語源
風の神としての霊力
彼が去り際に起こした風は凄まじく、光り輝く波を立てたといいます。これが「伊勢の神風」という枕詞の由来の一つとも言われています(諸説あり)。今は龍神として祀られることもあり、伊勢の自然崇拝の古層を象徴する存在です。
まとめ
伊勢都彦は、歴史の表舞台から姿を消しましたが、伊勢に吹く風そのものとして、今もその名を轟かせています。