最強の武神タケミカヅチに力比べ(相撲)を挑んだ、勇猛な出雲の神。敗れて諏訪へ逃げ落ちましたが、そこで強大な軍神として復活し、武田信玄など多くの武将に崇拝されました。
タケミナカタとはどのような神か?
『古事記』に登場する大国主神の息子です(建御名方神)。兄のコトシロヌシが国譲りを承諾したのに対し、彼は最後まで抵抗しました。千引の石を軽々持ち上げてタケミカヅチに挑みましたが、手を氷や剣に変えるタケミカヅチの神力に敗れ、腕を折られて信濃国の諏訪湖まで逃げました。そこで「もうここから出ない」と誓い、諏訪大社の祭神となりました。元々は風や水の神、あるいはミシャグジ神などの土着神とも融合した複雑な神格を持ちます。
神話でのエピソード
相撲の起源
彼とタケミカヅチの力比べが、日本の国技「相撲」の起源とされています。敗れはしたものの、神に挑むその闘争心は武人の鑑とされました。
諏訪の龍神
諏訪湖が凍って割れる現象「御神渡り(おみわたり)」は、タケミナカタが対岸の女神に会いに行った跡だと言われています。彼は巨大な龍(蛇)の姿としてもイメージされます。
信仰と後世への影響
軍神としての崇敬
中世以降、坂上田村麻呂や源頼朝、武田信玄などから「軍神」として篤く信仰されました。「諏訪大明神」の旗印は勝利の象徴でした。
逃げ上手の若君
漫画『逃げ上手の若君』では、諏訪頼重の祖先神として、人外の存在感を放つキャラクターとして描かれています。
【考察】その本質と象徴
敗者の復活
中央(大和)との戦いに敗れ、地方に追いやられながらも、そこで独自の強力な信仰圏(諏訪信仰)を築き上げた、不屈の神です。
聖なる柱
諏訪大社の御柱祭で立てられる巨大な柱は、タケミナカタの神体、あるいは彼が封じ込めたミシャグジ神の結界とも言われます。この荒々しい祭りは、彼が持つ強大な自然エネルギーと、それを鎮めるための儀式が融合した、日本屈指の奇祭です。
まとめ
負けて終わりではない。逃げた先で最強になればいい。彼は敗北から立ち上がる全ての者の守護神です。