クリオロフォサウルス(Cryolophosaurus)は、南極大陸で初めて発見された肉食恐竜です。学名は「氷(Cryo)のトサカ(lophos)を持つトカゲ(saurus)」を意味します。ジュラ紀前期、まだ南極が現在のような極寒の地ではなく、森が広がる比較的温暖な気候だった時代に生息していましたが、それでも冬には夜が長く涼しい環境でした。エルヴィス・プレスリーの髪型のような独特のトサカを持つことから、愛称は「エルヴィサウルス」です。
扇のようなトサカ
頭の上に、骨でできた扇状のトサカが横向きについています。他の多くの恐竜(ディロフォサウルスなど)のトサカが縦向きであるのに対し、横向きに広がる形状は非常に珍しいものです。このトサカは非常に薄く壊れやすいため、武器としては使えませんでした。鮮やかな色で彩られ、異性へのアピールや種族の識別に使われるディスプレイ器官だったと考えられています。
南極の王者
当時の南極はゴンドワナ大陸の一部で、亜熱帯から温帯の気候でしたが、極圏に近い高緯度地域でした。クリオロフォサウルスはこの環境に適応した頂点捕食者であり、原竜脚類のグラシリラプトルなどを捕食していたと考えられます。ジュラ紀前期の獣脚類としては最大級の体格を誇り、全長は約6.5メートル、体重は400キロ以上あったと推測されています。
進化のミッシングリンク
クリオロフォサウルスの分類は長い間謎とされていましたが、最近の研究では、原始的な獣脚類から、後のアロサウルス類などのより進化したテタヌラ類へと移行する中間のグループに近いと考えられています。彼らは古い時代の特徴を残しつつ、新しい時代の大型肉食恐竜への進化の兆しを見せていました。
まとめ
極寒の地で化石が発掘されたクリオロフォサウルスは、恐竜がかつて南極大陸を含めた全地球規模で繁栄していたことを証明する重要な存在です。そのトサカは、太古の南極の森で鮮やかに輝いていたことでしょう。