「這い寄る混沌」の異名を持ち、クトゥルフ神話の中で唯一、人語を解し、自ら人間に干渉してくる能動的な邪神。それがニャルラトホテプです。アザトースの使者でありながら、自身の楽しみのために世界に混乱を撒き散らす、最悪のトリックスターとして知られています。
千の貌を持つ神
変幻自在の化身
ニャルラトホテプは特定の姿を持たず、**「千の異なる化身」**を持つと言われています。エジプトのファラオのような姿をした「黒い男」、コウモリのような翼を持つ「夜に吠えるもの」、顔のない「無貌の神」など、状況や目的に応じて自由自在に姿を変えます。
人間への興味
他の神々が人間を「蟻」程度にしか認識していないのに対し、ニャルラトホテプは人間に強い興味を持っています。しかしそれは友愛ではなく、人間が狂気に陥り、自滅していく様を観察して楽しむという悪趣味なものです。彼はしばしば、危険な科学技術や兵器を人間に与え、破滅を加速させます。
神々のメッセンジャー
アザトースの代行者
ニャルラトホテプは「外なる神々」の魂であり、メッセンジャーとしての役割を担っています。知性を持たない主アザトースに代わり、その意志(あるいは単なる衝動)を具現化し、世界に影響を与えます。しかし、彼独自の思惑で動くことも多く、その行動原理は混沌そのものです。
ドリームランドの支配者
彼は夢の世界「ドリームランド」にも深く関与しており、そこでは神として崇められたり、探索者を罠に嵌めたりします。地球の古代神たちを保護するという奇妙な役割も持っており、その真意は誰にも読み取れません。
日本での驚くべき人気
這いよれ!ニャル子さん
日本において、ニャルラトホテプの知名度を一気に押し上げたのは、ライトノベル『這いよれ!ニャル子さん』でしょう。銀髪の美少女として描かれ、「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌」というキャッチフレーズと共に、萌えキャラとして再解釈されました。原典の恐ろしさとのギャップが、逆にキャラクターの魅力を深めています。
ペルソナシリーズ
RPG『ペルソナ』シリーズでは、物語の根幹に関わる重要な存在として登場します。人間の集合的無意識や心の闇を象徴する敵対者として描かれ、原作の「人間を破滅に導く誘惑者」としての側面が強調されています。
【考察】なぜ彼は嗤うのか?
嘲笑する神
ニャルラトホテプは、しばしば「嘲笑する」と表現されます。これは彼が高度な知性を持ち、状況を俯瞰していることの証です。理解不能な宇宙的恐怖の中で、唯一「話が通じる」ように見える彼こそが、実は最も悪質で危険な罠なのかもしれません。
まとめ
ニャルラトホテプは、宇宙の冷酷さと、そこはかとない人間臭さを併せ持つ特異な邪神です。もし誰かが甘い言葉で禁断の知識を囁いてきたら、それは彼が化けた姿かもしれません。