上半身は妖艶な美女、下半身は巨大な蛇。ファンタジー作品でお馴染みの「ラミア」は、男を誘惑し、締め上げる恐ろしい魔物として描かれます。しかしその正体は、理不尽な神々の嫉妬によって狂気に落とされた、哀れな女王でした。
ラミアとは?
美しきリビアの女王
元々ラミアは、北アフリカのリビアを治める美しい人間の女王でした。その美貌は最高神ゼウスの目にも留まり、二人は恋に落ちて子供をもうけます。しかし、これに激怒したのがゼウスの正妻ヘラでした。
ヘラの残酷な呪い
嫉妬に狂ったヘラは、ラミアの産んだ子供たちを皆殺しにするか、あるいはラミア自身に我が子を喰わせるという呪いをかけました(諸説あり)。絶望と狂乱のあまり、ラミアは他人の子供をさらって喰らう怪物へと変れ果ててしまったのです。さらにヘラは、ラミアが悲しみを忘れて眠ることさえ許さないよう、彼女から「眠る能力(まぶた)」を奪いました。
取り外せる目玉
哀れに思ったゼウスは、せめてもの救済として、彼女に「目玉を取り外す能力」を与えました。目玉を外している間だけは、彼女は恐ろしい光景を見ずに済み、休息を取ることができるようになったのです。
吸血鬼の原型
若者の血を啜る魔女
後世の伝承では、ラミアは子供だけでなく、若い男性を誘惑してその生き血を啜る「吸血鬼」の一種として扱われるようになりました。美しい女性の姿で現れ、男を油断させて捕食する「ファム・ファタール(運命の女)」の元祖とも言える存在です。
蛇女への変貌
神話の初期では醜い鬼女とされることもありましたが、詩人キーツの「ラミア」などの影響で、「美しい女性と蛇の融合体」というビジュアルが定着しました。現代のファンタジーやサブカルチャーにおける「ラミア=蛇女」のイメージは、ここから来ています。
現代作品でのラミア
モンスター娘の代表格
近年では、「モンスター娘」ジャンルの人気の高まりにより、恐ろしい怪物としてだけでなく、ヒロインとしての地位も確立しています。長い尾を使った愛情表現(締め付け)や、冷血動物ゆえの体温の低さなど、蛇の特徴を活かしたキャラクター付けが人気です。
【考察】ラミアの脅威度
締め付けの恐怖
大蛇の締め付け力(コンストリクション)は、骨を砕き、窒息させるのに十分な威力があります。加えて、魔法や幻術を使って獲物を拘束することもあり、物理と魔法の両面で厄介な敵となります。
まとめ
愛ゆえに愛を奪われ、化け物へと堕ちたラミア。その妖艶な瞳の奥には、今も消えない母としての哀しみが宿っているのかもしれません。