アメリカの西部劇に出てくるような古いバーに行くと、壁に**「鹿の角が生えたウサギ」**の剥製が飾られていることがあります。これこそがアメリカを代表するUMA(未確認生物)、ジャッカロープです。名前はジャックラビット(ノウサギ)とアンテロープ(レイヨウ)の合成語。カウボーイたちに愛された、愉快でちょっと不気味なこの生き物の正体とは?
嘘から生まれた人気者
カウボーイのほら話
1930年代、ワイオミング州のダグラスという町で、剥製師の兄弟が「ウサギの剥製に鹿の角をくっつけてみた」のが始まりと言われています。これを「新種の珍獣だ!」と売り出したところ、観光客に大ウケしました。ダグラス市は今でも「ジャッカロープの首都」を名乗り、町中に像が立っています。
奇妙な生態
伝承(という名の後付け設定)によれば、ジャッカロープは人の声を真似ることができ、夜にカウボーイが焚き火を囲んで歌っていると、一緒に合唱してくるそうです。また、ウイスキーが大好物で、捕まえるにはウイスキーを置いて酔っ払わせるのが一番だとされています。
アルミラージとの違い
イスラムの角ウサギ
世界には他にも角のあるウサギの伝説があります。有名なのはイスラム圏の伝説にあるアルミラージです。こちらは螺旋状の鋭い一本角を持つ凶暴な肉食獣で、象をも倒すとされます。陽気なジャッカロープとはえらい違いです。
科学的な正体
ウサギ乳頭腫ウイルス
ジョークグッズとして定着したジャッカロープですが、実は元ネタとなる病気があります。「ショープ乳頭腫ウイルス」に感染したウサギは、顔や頭に角のような硬いイボ(腫瘍)ができるのです。昔の人がこれを見て「角の生えたウサギがいる!」と驚いたのが、伝説のルーツではないかと言われています。現実は意外とシビアです。
まとめ
剥製師の遊び心から生まれ、町おこしのシンボルにまでなったジャッカロープ。アメリカ人のユーモア精神が生んだ、現代の神話と言えるでしょう。