右腕を振り上げ、右足を高く跳ね上げ、口を大きく開いて怒号する青黒い魔神。それが**蔵王権現(ざおうごんげん)**です。インドや中国には存在せず、日本の山岳信仰と仏教が融合した「修験道」の本尊として、奈良県・吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)に祀られています。その圧倒的な迫力は、見る者の魂を揺さぶります。
役小角の祈り
優しすぎる仏では救えない
飛鳥時代、修験道の開祖・**役小角(えんのおづぬ)**が吉野の山中で、乱れた世を救う強力な神の出現を祈りました。最初にお釈迦様、次に千手観音、その次に弥勒菩薩が現れましたが、小角は「今の世の中は悪があまりに強すぎる。もっと強力な忿怒の姿でないと人々を救えない」と訴えました。
岩を砕いて出現
すると、大地が鳴動し、雷鳴と共に岩を砕いて出現したのが、三仏の力を併せ持ち、怒りの形相をした蔵王権現でした。小角は「これこそ求めていた姿だ」と歓喜し、桜の木にその姿を刻んで祀りました。これが、吉野山が桜の名所となった起源です。
三世を救う絶対神
過去・現在・未来
蔵王権現は、一人の神でありながら三つの仏の化身です。
まとめ
蔵王権現の青黒い肌は、何ものにも染まらない強い慈悲を表しています。吉野の山奥から、彼は今も厳しい眼差しで日本を見守り続けています。