天孫降臨の主役であるニニギノミコトの母親、それが**萬幡豊秋津師比売命(タクハタチジヒメ)**です。造化三神の一柱である高皇産霊神(タカミムスヒ)の娘であり、天照大神の息子である天忍穂耳命(オシホミミ)の妻という、超・高貴な血筋を持つ女神です。伊勢神宮の内宮(皇大神宮)の相殿神としても祀られています。
織物とトンボの女神
幾千の織物
名前の「萬幡(たくはた)」は「多くのハタ(布地)」、「豊秋津(とよあきつ)」は「豊かなトンボ(=日本の異名)」、「師(し)」は「技師」を意味します。つまり、日本を象徴する豊かで美しい織物を織る優れた技術者であり、その恵みを司る女神です。機織りは古代において国家の経済基盤を支える最重要産業の一つでした。
皇統の母
地上を治める天孫ニニギを生んだことで、現在の皇室につながる系譜の母となりました。アマテラス(父方)とタカミムスヒ(母方)という、天津神の二大巨頭の血を引く彼女は、天界の統合と地上の繁栄を繋ぐ重要な結節点にいます。
繊維と芸術の守護
織物、紡績、ファッション業界の守護神として信仰されます。また、細やかな糸を操り、一枚の布を織り上げることから、物事を着実に成し遂げる忍耐力や、芸術的な創造性を授けてくれる神様でもあります。
まとめ
天の機織り機で、国の運命という縦糸と横糸を紡ぐ。萬幡豊秋津師比売命は、豊かさと伝統美を象徴する、華麗なる母神です。